判旨
昭和20年勅令第542号に基づき制定された銃砲等所持禁止令は、ポツダム宣言の受諾に伴う連合国最高司令官の要求を履行するためのものであり、日本国憲法下においても有効である。
問題の所在(論点)
昭和20年勅令第542号「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」に基づき制定された「銃砲等所持禁止令」が、憲法上有効であるか。
規範
ポツダム宣言の受諾に伴う連合国最高司令官の要求を履行するために発せられた、いわゆるポツダム命令(昭和20年勅令第542号に基づく命令)は、憲法の枠外にある特別の効力を有するものとして、憲法に抵触するか否かにかかわらず有効である。
重要事実
被告人が銃砲等所持禁止令に違反して銃砲等を所持したとして起訴された事案において、弁護人は同禁止令が昭和20年勅令第542号に基づくものであり、憲法に違反し無効であると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、既往の大法廷判決(昭和23年6月23日判決)を引用し、ポツダム宣言の受諾に伴う連合国最高司令官の要求を履行するための措置として制定された銃砲等所持禁止令は、憲法秩序を超越した有効性を有すると判断した。したがって、憲法違反を理由とする弁護人の主張は採用できない。
結論
銃砲等所持禁止令は有効であり、これに基づき有罪とした原判決に憲法違反の誤りはない。
実務上の射程
本判決は、占領下のポツダム命令の効力を認めた実務上の確定的な判例である。答案上は、憲法制定前の超法規的な命令の効力が問題となる場面で、既往の大法廷判決を踏襲する簡潔な先例として引用する。
事件番号: 昭和22(れ)279 / 裁判年月日: 昭和23年6月23日 / 結論: 棄却
一 昭和二〇年勅令第五四二號ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件及び銃砲等所持禁止令は新舊いずれの憲法の下においても有効である。 二 旧憲法上の法律は、その内容が新憲法の条規に反しない限り、新憲法の施行後も効力を有する。 三 昭和二二年法律第七二號日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に關する法律…
事件番号: 昭和28(あ)2649 / 裁判年月日: 昭和28年10月22日 / 結論: 棄却
一 銃砲刀剣類等所持取締令は、昭和二〇年勅令第五四二号に基いて発せられた有効な命令である。 二 右命令違反の所為は平和条約発効後も免訴とならない。
事件番号: 昭和26(れ)2350 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧銃砲等所持禁止令が憲法に違反しないことは判例の確立したところであり、また昭和22年法律第72号1条の2の規定に照らし、同令が昭和22年12月31日をもって当然に失効することはない。 第1 事案の概要:被告人は銃砲等の所持禁止に抵触する行為を行い、旧銃砲等所持禁止令(および銃砲刀剣類等所持取締令附…
事件番号: 昭和28(あ)3540 / 裁判年月日: 昭和30年1月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和20年勅令第542号に基づき制定された銃砲刀剣類等所持取締令は、日本国との平和条約の発効によって直ちに失効するものではなく、法律としての効力を認めた昭和27年法律第13号も有効である。 第1 事案の概要:被告人が、銃砲刀剣類等所持取締令(昭和25年政令第330号)に違反して銃砲等を所持したとし…
事件番号: 昭和25(あ)2696 / 裁判年月日: 昭和27年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲等所持禁止令1条の下では、既に許可を受けている者から銃砲等の譲渡又は寄託を受けた場合であっても、譲受人又は受寄託者は自ら新たに所持の許可を受ける必要がある。また、法改正前の違反行為に対し従前の例により罰則を適用することは、検挙時期による不当な差別を生むものではなく、憲法に違反しない。 第1 事…