判旨
昭和20年勅令第542号に基づき制定された銃砲刀剣類等所持取締令は、日本国との平和条約の発効によって直ちに失効するものではなく、法律としての効力を認めた昭和27年法律第13号も有効である。
問題の所在(論点)
平和条約の発効により、連合国軍最高司令官の要求に基づき制定されたポツダム勅令およびこれに基づく規定(銃砲刀剣類等所持取締令)が当然に失効するか。また、これらに法律的効力を認めた措置の合憲性。
規範
ポツダム宣言の受諾に伴い発せられる命令に関する件(昭和20年勅令第542号)に基づき制定された諸規定は、平和条約の発効(講和)という事実のみをもって当然にその効力を失うものではない。これら規定に対して法律としての効力を付与した措置は、憲法上有効である。
重要事実
被告人が、銃砲刀剣類等所持取締令(昭和25年政令第330号)に違反して銃砲等を所持したとして起訴された事案。弁護人は、同政令の根拠である昭和20年勅令第542号(ポツダム勅令)が平和条約の発効により失効しており、同政令に法律としての効力を認めた昭和27年法律第13号も無効であるとして、憲法違反を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所の過去の大法廷判決(昭和28年4月8日等)の法理によれば、昭和20年勅令第542号に基づく諸規定は講和条約の発効によって直ちに無効となるものではない。本件の銃砲刀剣類等所持取締令についても、同様の理が妥当する。したがって、同令に法律としての効力を認めた昭和27年法律第13号を無効とすべき理由はない。
結論
銃砲刀剣類等所持取締令および昭和27年法律第13号は憲法に違反せず有効である。したがって、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和28(あ)2649 / 裁判年月日: 昭和28年10月22日 / 結論: 棄却
一 銃砲刀剣類等所持取締令は、昭和二〇年勅令第五四二号に基いて発せられた有効な命令である。 二 右命令違反の所為は平和条約発効後も免訴とならない。
占領下のポツダム勅令に基づく法体系が、主権回復後の日本法体系においてどのように承継されるかを示す。司法試験においては、占領下の例外的な立法形式の合憲性や、法律としての承継措置の有効性を論じる際の歴史的基礎知識として用いる。
事件番号: 昭和30(あ)430 / 裁判年月日: 昭和32年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類等所持取締令(昭和25年政令第334号)およびポツダム宣言受諾に伴う命令の効力に関する法理に基づき、同令の憲法適合性および講和条約発効後の有効性を認めた。 第1 事案の概要:被告人は銃砲刀剣類等所持取締令に違反する行為(所持)を行い、起訴された。弁護人は、①同令が憲法に違反すること、②ポ…
事件番号: 昭和26(あ)2162 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和20年勅令第542号に基づき制定された銃砲等所持禁止令は、ポツダム宣言の受諾に伴う連合国最高司令官の要求を履行するためのものであり、日本国憲法下においても有効である。 第1 事案の概要:被告人が銃砲等所持禁止令に違反して銃砲等を所持したとして起訴された事案において、弁護人は同禁止令が昭和20年…
事件番号: 昭和22(れ)279 / 裁判年月日: 昭和23年6月23日 / 結論: 棄却
一 昭和二〇年勅令第五四二號ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件及び銃砲等所持禁止令は新舊いずれの憲法の下においても有効である。 二 旧憲法上の法律は、その内容が新憲法の条規に反しない限り、新憲法の施行後も効力を有する。 三 昭和二二年法律第七二號日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に關する法律…
事件番号: 昭和26(れ)2350 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧銃砲等所持禁止令が憲法に違反しないことは判例の確立したところであり、また昭和22年法律第72号1条の2の規定に照らし、同令が昭和22年12月31日をもって当然に失効することはない。 第1 事案の概要:被告人は銃砲等の所持禁止に抵触する行為を行い、旧銃砲等所持禁止令(および銃砲刀剣類等所持取締令附…