判旨
銃砲刀剣類等所持取締令(昭和25年政令第334号)およびポツダム宣言受諾に伴う命令の効力に関する法理に基づき、同令の憲法適合性および講和条約発効後の有効性を認めた。
問題の所在(論点)
銃砲刀剣類等所持取締令の憲法適合性、平和条約発効後の効力、および証人申請却下の合憲性。
規範
1. 憲法13条や憲法22条等の権利は公共の福祉による制限を免れず、銃砲刀剣類の所持規制は憲法に違反しない。2. 昭和20年勅令542号(ポツダム命令)は、サンフランシスコ平和条約の発効によって直ちに失効するものではなく、法律をもって存続させる措置(昭和27年法律第13号)は有効である。3. 裁判所が被告人・弁護人の申請した証人の一部を却下することは、直ちに憲法37条2項(証人尋問権)に違反するものではない。
重要事実
被告人は銃砲刀剣類等所持取締令に違反する行為(所持)を行い、起訴された。弁護人は、①同令が憲法に違反すること、②ポツダム命令である同令は平和条約の発効とともに無効となったはずであること、③証人申請の一部却下が憲法37条2項に違反することを主張して上告した。
あてはめ
1. 銃砲刀剣類の所持取締りは、公共の安全を保持するための合理的な制限であり、大法廷判決の趣旨に照らし合憲である。2. 平和条約の発効後も、昭和27年法律13号により同令を法律としての効力をもって存続させる措置がとられており、法的に有効である。3. 証人尋問権(憲法37条2項)は、裁判所の訴訟指揮権を排除するものではなく、必要性の判断に基づく証人申請の却下は許容される。
結論
本件取締令は有効かつ合憲であり、原審の証拠採択手続にも憲法違反はない。したがって、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和28(あ)3540 / 裁判年月日: 昭和30年1月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和20年勅令第542号に基づき制定された銃砲刀剣類等所持取締令は、日本国との平和条約の発効によって直ちに失効するものではなく、法律としての効力を認めた昭和27年法律第13号も有効である。 第1 事案の概要:被告人が、銃砲刀剣類等所持取締令(昭和25年政令第330号)に違反して銃砲等を所持したとし…
刑事実務におけるポツダム命令の承継法理、および公判における証人採用の裁量権の限界を示す判例として、手続法・憲法の両面で活用される。
事件番号: 昭和28(あ)2649 / 裁判年月日: 昭和28年10月22日 / 結論: 棄却
一 銃砲刀剣類等所持取締令は、昭和二〇年勅令第五四二号に基いて発せられた有効な命令である。 二 右命令違反の所為は平和条約発効後も免訴とならない。
事件番号: 昭和32(あ)430 / 裁判年月日: 昭和32年10月4日 / 結論: 破棄自判
銃砲刀剣類等所持取締令第七条の規定による登録を受けた日本刀を所持する所為は、所持者その人の性格ないし所持の目的の如何にかかわらず、同令第二条の規定に違反せず、不法所持罪を構成しない。
事件番号: 昭和26(あ)1999 / 裁判年月日: 昭和29年1月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項前段は、裁判所に対し、被告人側から申請された証人をすべて尋問する義務を課したものではなく、必要性がないと判断される証人の尋問を却下しても同条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、銃砲等所持禁止令違反等の罪に問われた事案において、特定の証人尋問を申請したが、裁判所によって採用され…
事件番号: 昭和38(あ)2078 / 裁判年月日: 昭和39年8月28日 / 結論: 棄却
所論は、原判決は、令状なくして違憲違法の押収手続により押収された物件を証拠として、その支持する第一審判決判示事実を有罪と認定しているから、原判決は憲法第三五条に違反する旨主張するが、かかる論旨は、原審で主張も判断もなかつた訴訟手続に関する主張であるから適法な上告理由に当らない(昭和三五年(あ)第一七二一号、同三六年七月…