判旨
被告人が重症である事実は刑の執行上考慮されるべき問題であり、裁判所が刑の重さを決定する量刑判断において考慮すべき事由には当たらない。
問題の所在(論点)
被告人が「重症」であるという身体的状況が、裁判所が言い渡す刑の重さ(量刑)を決定するに際して、法的に考慮すべき事情に含まれるか。
規範
被告人の健康状態(重症の事実)は、刑法上の量刑(刑の量定)を左右する事情ではなく、刑事訴訟法に基づき刑の執行を停止するか否かという「刑の執行」段階において考慮されるべき事由である。
重要事実
被告人が重症である事実を理由として、原判決の量刑が不当である旨を弁護人が主張し、上告を申し立てた事案。原審までの具体的な犯罪事実や病状の詳細については、本判決文からは不明である。
あてはめ
量刑は、犯罪の性質、動機、態様、結果等の犯情および被告人の性格、境遇、更生可能性等の一般情状に基づき決定される。これに対し、被告人の重症事実は、判決確定後の刑の執行の可否や方法に関わる事項であり、刑罰権の具体的な内容を定める量刑判断の基礎とはならない。したがって、量刑不当をいう上告理由は失当である。
結論
被告人の重症の事実は量刑に影響を及ぼす問題ではないため、これに基づき量刑不当を主張する上告は棄却される。
実務上の射程
被告人の健康状態を理由に寛大な処断を求める主張(弁論)に対し、それが「量刑」の文脈では意味をなさず、あくまで「刑の執行停止」(刑訴法480条等)の段階の問題であることを峻別する際に用いる。
事件番号: 昭和26(れ)231 / 裁判年月日: 昭和26年5月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、上告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が、原判決の量刑が不当であることを理由として上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):量刑が不当であるという主張が、上告の適法な理由となるか。 第3 規範:刑事訴訟法応急…