判旨
強盗殺人罪の共同正犯において、共犯者の一人が財物を奪取した場合には、実行行為を分担した他の共犯者もその罪責を負う。死刑は憲法36条が禁じる残虐な刑罰には該当しない。
問題の所在(論点)
1. 強盗共同正犯の一人が財物を奪取した場合に、他の共犯者も強盗罪の既遂責任を負うか。2. 死刑は憲法36条の「残虐な刑罰」に該当し違憲となるか。
規範
共同正犯(刑法60条)が成立する場合、一部の者が行った実行行為であっても、共謀に基づき行われたものである限り、他の共犯者は自己の行為としてその罪責を負う(一部実行全部責任)。
重要事実
被告人は共犯者AおよびBと共謀し、強盗殺人におよんだ。その過程で、共犯者Bが菓子箱(財物)を奪取した。被告人側は、自身が直接財物を奪取していない点や、絞首以前の拳銃発射時点での殺意の有無、および死刑の違憲性を主張して上告した。
あてはめ
1. 本件では、共犯者Bが菓子箱を奪取した事実は証拠により明認できる。強盗の共同正犯関係がある以上、一人の奪取行為は共同正犯者全員の行為と評価される。2. 死刑については、最高裁の先例(昭和23年3月12日大法廷判決)に照らし、憲法36条にいう残虐な刑罰には当たらないと解するのが相当であり、これを変更する必要はない。
結論
1. 被告人は共犯者の財物奪取についても責任を負い、強盗としての罪責を免れない。2. 死刑制度は合憲である。
実務上の射程
共犯者の行為の帰属に関する基本的な判例であり、強盗致死傷罪等の事案で一部の者が財物奪取を担当した場合の責任追及に活用できる。また、死刑制度の合憲性に関する形式的な準拠枠組みとしても機能する。
事件番号: 昭和25(あ)2447 / 裁判年月日: 昭和27年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀共同正犯の成立において、被告人自身が実行行為の一部を分担し、かつ他の共犯者との間に犯意の共通が認められる場合、自ら利得を得ていなくとも、他の共犯者が得た不法な利益について罪責を負う。 第1 事案の概要:被告人Aは、B、C、Dと共謀し、被害者Eに対し「御馳走を出せ」「芸妓を呼べ」等と要求した。そ…
事件番号: 昭和25(あ)2455 / 裁判年月日: 昭和26年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人登録令の適用において、朝鮮人は、同令11条に基づき、当分の間、外国人とみなされる。 第1 事案の概要:被告人が、自らを日本人であると主張し、外国人登録令の適用を受ける朝鮮人ではないと争った事案である。第一審および原審は、諸般の事情を詳細に説示・検討した結果、被告人を朝鮮人と認定した。これに対…