論旨は、所論の証拠物につき第一審のした証拠調の方式が、刑訴第三〇七条に違反するとの前提の下に、これを証拠に採用した第一審判決を相当なりとした原判決は、論旨援用の判例に相反する判断をしたと主張するのであるが第一審公判調書中証拠調の箇所を見ると所論の証拠物については適式の証拠調(即ち朗読並びに提示)が施行された旨記載されている(記録一六丁表六行目)。それ故所論は前提において既に誤つており、採用し難い。
証拠調の方式に関する判例違反の主張の適否
刑訴法307条,刑訴法405条3号
判旨
証拠物に対する証拠調べは、刑事訴訟法に基づき、裁判所において提示および朗読の適式な手続を経て行われなければならない。
問題の所在(論点)
証拠物の証拠調べにおいて、刑事訴訟法が定める適式な手続(提示・朗読等)が欠如している場合に、その証拠を判決の基礎とすることができるか。
規範
証拠物(書面を含む)の証拠調べについては、刑事訴訟法307条(当時)に基づき、法廷における「提示」および「朗読」という適式な手続を経ることを要する。
重要事実
被告人が第一審において、特定の証拠物に関する証拠調べの手続が刑事訴訟法307条に違反する不適法なものであると主張した事案。しかし、第一審の公判調書を確認したところ、当該証拠物について「朗読並びに提示」が施行された旨の記載が存在していた。
あてはめ
本件において、公判調書の記載によれば、論旨の対象となった証拠物については、法廷で「朗読並びに提示」という適式な証拠調べが既に行われている。したがって、弁護人が主張するような証拠調べ方式の違法は認められず、第一審判決の手続に瑕疵はないと判断される。
結論
適式な証拠調べがなされている以上、手続違背を理由とする控訴棄却判決は正当であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法307条(現行法における305条、306条、307条等の準用関係を含む)に基づく証拠調べの厳格な実施を求める趣旨。実務上は、公判調書の記載が証拠調べの適法性を証明する強力な証拠となることを示唆している。
事件番号: 昭和25(あ)548 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が特定の書類を犯罪事実の証拠として採用していない以上、当該書類の取り扱いに不備があったとしても、憲法37条が保障する公平な裁判所の裁判を受ける権利や被告人の証人尋問権を侵害するものとはいえない。 第1 事案の概要:被告人が上告した事案において、弁護人は原審における特定の書類の取り扱いが不当で…