判旨
控訴趣意書に記載されず原審の判断を受けていない主張は適法な上告理由にならず、憲法違反を主張しても実質が量刑不当であれば同様である。
問題の所在(論点)
控訴審で主張・判断されていない事項を上告理由とできるか。また、憲法違反を名目としつつ実質的に量刑不当を争う主張が、適法な上告理由として認められるか。
規範
1. 控訴趣意書に記載がなく、原審が判断を行わなかった事項については、適法な上告理由とはならない。2. 憲法違反を主張するものであっても、その実質が単なる量刑不当の主張にわたる場合は、適法な上告理由にならない。
重要事実
被告人が上告を提起し、弁護人が上告趣意書を提出した。その第一点では、控訴趣意書には記載されておらず、原審(控訴審)での判断も経ていない新たな主張がなされた。また、第二点では憲法14条(法の下の平等)違反を主張していたが、その具体的内容は刑の重さに対する不服、すなわち量刑不当を訴えるものであった。
あてはめ
弁護人の上告論旨第一点については、控訴趣意書に記載がなく原審の判断を経ていないため、上告審の審判対象から外れる。第二点については、形式的には憲法違反を掲げているものの、その実質は刑訴法が制限的に認める量刑不当の主張にすぎない。したがって、いずれも適法な上告理由の要件を欠いていると解される。さらに、記録を精査しても刑訴法411条に基づき職権で判決を破棄すべき顕著な事由も認められない。
結論
本件上告は棄却される。控訴審で提出されなかった主張や、実質的に量刑不当にすぎない主張は、適法な上告理由とならない。
実務上の射程
上告審の構造(事後審的性格)を示す。刑事訴訟法405条各号の上告理由に該当するかを厳格に判断する際、主張の「実質」を重視すべきことを示唆している。
事件番号: 昭和25(あ)620 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において主張されず原判決が判断を示していない事項を、最高裁判所への上告理由(刑訴法405条)として主張することは、原則として適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審判決に対する控訴趣意として主張していなかった事項について、上告審において初めて判例違反および憲…