判旨
控訴趣意書の提出期間経過後に提出された書面は、遅延にやむを得ない事情があると認められる場合を除き、控訴審の必要的な調査判断の対象とはならない。
問題の所在(論点)
刑法376条の提出期間経過後に提出された控訴趣意書について、控訴裁判所は審判の対象とする義務を負うか、また、これを受け取ることが弁護権を制限し憲法37条3項に違反するか。
規範
控訴趣意書は、法律で定められた提出期間内に差し出すべきものであり(刑訴法376条1項)、期間経過後に提出された書面は、裁判所がその遅延をやむを得ない事情に基づくと認めて期間内に差し出されたものとして審判する場合を除き、控訴審の必要的調査判断の対象にはならない(刑訴法392条、刑訴規則238条等)。
重要事実
被告人の弁護人が控訴趣意書を提出したが、それは控訴趣意書提出期間が経過した後であった。なお、本件では既に期間内に別の控訴趣意書が提出されていた。
あてはめ
本件において、期間経過後に提出された控訴趣意書は、裁判所が「遅延にやむを得ない事情がある」と認めた特別の事情がない限り、必要的調査対象から外れる。既に適法な控訴趣意書が期間内に提出されている場合であれば、期間後の追完を認めないことは明白に法に則った運用であり、弁護権の不当な制限には当たらない。
結論
期間外の控訴趣意書は必要的審判対象ではなく、これを審理しなかったとしても違法でも憲法違反でもない。
実務上の射程
刑事訴訟手続における期間遵守の重要性を確認する判例である。答案上は、控訴趣意書の「必要的調査対象(392条)」と「職権調査対象(392条2項)」を区別する際の根拠として用いることができる。
事件番号: 昭和26(あ)3474 / 裁判年月日: 昭和28年2月12日 / 結論: 棄却
当該事案における量刑理由を判示しただけで他の事案に適用すべき法律的見解を含んでいない判決は、刑訴第四〇五条にいわゆる判例といえない。