上告趣意第一点は所論控訴趣意書(上申書と題するもの)は法廷期間経過後の提出にかかるものであるから、この場合刑訴規則二三八条を適用すべき場合でない限り、原審が同趣意書に対し判断を与えなかつたことは当然である。所論引用の判例は適法期間内に提出された控訴趣意書に関するものであつて、本件の場合に当てはまるものではなく、また所論刑訴三六六条は所論もいうとおり、上訴申立に関する規定であつて控訴趣意書に準用あるものとは解されないから、所論はすべて採ることができない。
刑訴第三六六条第一項は、在監者が控訴趣意書を差し出す場合に準用されるか
刑訴法366条,刑訴法367条,刑訴法376条,刑訴規則236条,刑訴規則238条
判旨
控訴趣意書が法定の提出期間経過後に提出された場合、裁判所はこれに対して判断を示す義務を負わず、また監獄に在る者の上訴申立てに関する特則(刑訴法366条)は控訴趣意書の提出には準用されない。
問題の所在(論点)
法定の提出期間を経過した後に提出された控訴趣意書(またはそれに類する書面)に対し、裁判所は判断を示す義務を負うか。また、刑訴法366条の規定は、控訴趣意書の提出期間についても準用されるか。
規範
控訴趣意書が法定期間内に提出されない限り、裁判所は刑訴規則238条等の職権調査が必要な場合を除き、期間経過後に提出された書面(上申書等)の内容について判断を示す必要はない。また、刑訴法366条は上訴の提起期間に関する規定であり、控訴趣意書の提出期間に準用されるものではない。
重要事実
被告人Aの弁護人は、控訴趣意書(上申書と題するもの)を提出したが、その提出時期は法定の提出期間を経過した後であった。原審はこの趣意書に対して判断を示さず、被告人側はこれを不服として、刑訴法366条(監獄に在る者の上訴申立ての特則)の準用があるべきこと等を理由に上告した。
あてはめ
本件における控訴趣意書は法定期間経過後に提出されたものである。刑訴法366条は上訴の提起そのものに関する規定であり、その性質上、控訴趣意書の提出期間に準用されるとは解されない。したがって、特則による期間延長の効果は認められず、期間外の提出は不適法である。不適法な書面に対し、原審が判断を与えなかったことは正当である。
結論
控訴趣意書が提出期間を徒過した以上、原審がその内容を判断しなかったことは適法である。また、刑訴法366条の準用も認められない。
実務上の射程
控訴趣意書の提出期限遵守の重要性を確認する判例である。刑訴法366条(いわゆる監獄差し出しの特則)の適用範囲を限定的に捉えており、実務上、趣意書の提出については必着主義が原則であることを示す。答案上は、控訴の適法性や審判対象の確定に関する文脈で、手続の厳格性を説明する際に参照し得る。
事件番号: 昭和25(あ)3278 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が刑事訴訟法405条に該当しない場合や、記録を精査しても同法411条を適用すべき事由が認められない場合には、上告は棄却される。また、法定の提出期間を徒過した上告趣意書については、裁判所は判断を下さない。 第1 事案の概要:被告人側から上告がなされたが、弁護人が主張した上告趣意は刑事訴訟法4…