判旨
控訴審において主張されず、その判断を経ていない事項については、上告審において原裁判の違法をいうための適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
控訴審で主張されなかった事項を、上告審において原判決の違法を主張する適法な理由として申し立てることができるか(上告理由の制限)。
規範
上告審は事後審として控訴審判決の当否を審査するものであるから、控訴審において主張されず、かつ控訴審が判断を行わなかった事項について、新たに上告理由として主張することは許されない。
重要事実
被告人側は、上告審において新たな事由(上告趣意)を主張したが、その内容は控訴審(原裁判所)においては一切主張されておらず、したがって控訴審の判断も経ていなかった。
あてはめ
本件で弁護人が主張する事由は、控訴審で全く主張されておらず、原裁判所の判断を経ていないものである。上告審は原裁判所の判断の違法を主張すべき場である以上、判断を経ていない事項の主張は適法な上告理由に当たらないと解される。
結論
本件上告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の上告理由の制限に関する原則的な判例である。答案上では、被告人が上告審で新たな主張を展開した場合、それが事後審の構造(刑訴法405条以下)に反し、適法な上告理由にならないことを指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和27(あ)4557 / 裁判年月日: 昭和28年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書に包含されず、かつ原審が判断していない事項について第一審判決の違法を前提として違憲を主張することは、刑訴法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、上告趣意として以下の3点を主張した。第一点は単なる訴訟法違反、第二点は原審(控訴審)の控訴趣意書には含まれず、原…