判旨
公判調書における署名押印に代わる「差支につき」との記載は、刑事訴訟規則上の「事由」の附記として適法であり、憲法32条に反しない。また、刑訴法335条2項の判断理由は常に特段の判示を要するものではない。
問題の所在(論点)
公判調書において、裁判官が署名押印できない場合に「差支につき」と記載することが、刑事訴訟規則(46条3項等)にいう事由の附記として適法か。また、刑訴法335条2項に基づく判断理由の判示の要否。
規範
刑事訴訟規則に定められた署名押印に代わる「その事由」の附記として、「差支につき」という記載は有効なものと解される。また、刑訴法335条2項の判断理由については、必ずしも独立して詳細に判示することを要しない。
重要事実
被告人が憲法32条違反、刑訴法335条2項の判断遺脱、および公判調書における署名押印に代わる記載の不備(刑事訴訟規則違反)を理由として上告したもの。具体的には、調書に「差支につき」と記載されたことが、規則にいう事由の附記にあたるか等が争点となった。
あてはめ
公判調書における「差支につき」との記載は、具体的・個別的な事故の内容を詳述せずとも、署名押印ができない客観的な支障があることを示す表現として、規則の規定する「その事由」の附記に該当すると解される。したがって、書面としての有効性に欠けるところはなく、被告人の裁判を受ける権利を侵害するものではない。
結論
上告棄却。公判調書の記載は適法であり、憲法違反および訴訟法違反は認められない。
実務上の射程
実務上、公判調書の形式的要件に関する有効性を肯定する根拠として機能する。特に、署名押印が困難な場合の「差支」という慣用的な記載の有効性を担保する判断材料となるが、現代の訴訟実務においては電子化や記録の正確性がより重視される点に留意が必要である。
事件番号: 昭和26(れ)955 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、かつ同法411条を適用して判決を破棄すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てた事案であるが、具体的な公訴事実や下級審の判断内容などの事案の詳細は、提示された判決文からは不明である。 第2 問…