判旨
経済統制法違反の犯罪成立後に、根拠となる告示が廃止されたとしても、刑法6条の「刑の廃止」には当たらず、処罰を免れるものではない。
問題の所在(論点)
経済統制法違反の犯罪成立後、根拠となる告示が廃止された場合、刑罰が廃止されたものとして処罰を免れるか(限時法・法令の改廃の解釈)。
規範
法令の改廃が、単に事実上の事情の変化に伴う特定の措置の解消にすぎない場合は、刑訴法411条5号(または刑法6条)にいう「刑の廃止」には該当せず、行為時の法令により引き続き処罰される。
重要事実
被告人は経済統制法に違反する行為を行ったが、犯罪成立後、当該違反行為の根拠となっていた告示が廃止された。被告人側は、告示の廃止が刑罰の廃止にあたるとして、原判決の法令違反を主張した。
あてはめ
最高裁大法廷判決(昭和25年11月15日)の法理を引用し、経済統制法のような特定の政策目的を有する法令に基づく告示の廃止は、単なる事実上の変更にすぎない。本件においても、犯罪成立後に告示が廃止されたことは、刑罰規定そのものの廃止を意味するものではないと判断される。
結論
犯罪成立後の告示廃止は刑罰の廃止にはあたらないため、上告を棄却し、行為時の法令を適用して処罰すべきである。
実務上の射程
限時法や行政規制を背景とする処罰規定において、規制の対象外となった事実をもって「刑の廃止」に該当するかを判断する際のリーディングケースとなる。答案上は、法令変更が「法律的見解の変更」か「事実上の事情の変化」かを区別する際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和26(れ)175 / 裁判年月日: 昭和26年4月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反罪の成立後、その根拠となる告示が廃止されたとしても、刑法6条や刑事訴訟法337条2号にいう「刑の廃止」には当たらず、処罰されるべきとの判断を示した。 第1 事案の概要:被告人は、当時の大蔵省告示及び物価庁告示により価格が制限されていた物品について、物価統制令に違反する行為を行ったとし…