判旨
犯罪後の法令改正により価格等の統制額を指定した告示が廃止されたとしても、それが単なる事実上の変更にとどまる場合には、刑法6条及び刑事訴訟法405条等にいう「刑の廃止」には当たらない。
問題の所在(論点)
犯罪後に価格等の統制額を指定した告示が廃止された場合、刑法6条や刑事訴訟法405条(及び411条等の類推)にいう「刑の廃止」があったものといえるか。
規範
犯罪後の法令改正が、法律の改廃によりその行為自体が処罰の対象外となったのではなく、単に価格等の統制額を指定した告示が廃止されたに過ぎない場合には、「刑の廃止」があったものとは認められない。
重要事実
被告人が価格等統制令に違反する行為を行った後、当該違反行為の対象となっていた特定の品目に関する統制額を指定した告示が廃止された。被告人側は、この告示の廃止が実質的な刑の廃止にあたるとして上告した。
あてはめ
最高裁判所大法廷判決(昭和25年10月11日)の法理に照らせば、統制額を指定した告示の廃止は、経済情勢の変動等に伴う事実上の変更にすぎない。法律自体がその行為を罰しないこととした「刑の廃止」とは区別されるべきである。本件においても、告示の廃止により行為の違法性が事後的に否定されるものではないため、刑を免除したり免訴したりすべき事由には該当しない。
結論
告示が廃止されても、刑の廃止があったものとはいえないため、上告を棄却する。
実務上の射程
法令変更と限時法の法理における「事実上の変更」と「法律的見解の変更(刑の廃止)」の区別を示す判例。試験対策上は、経済刑法における告示の変更が「刑の廃止」に当たらないという結論を、刑法6条の解釈として論じる際に用いる。
事件番号: 昭和25(あ)2911 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の犯罪成立後、価格指定の物価庁告示が廃止されたとしても、それは刑罰の廃止(刑訴法411条5号等)には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が物価統制令に違反する行為を行った後、当該行為の処罰の基準となっていた価格指定の物価庁告示が廃止された。被告人側は、この告示の廃止が刑罰の廃止に当…