論旨は、原審において控訴趣意として全く主張されず、従つて原審が何ら判断をしていない事項であることは、原判決と上告趣意とを対比して明らかなところであり、かかる論旨が上告の理由としてその適法要件を欠くものであることは、すでに当裁判所の判例として示されている(昭和二五年(あ)第三九一号同年一二月五日第三小法廷判決、昭和二四年新(れ)第二七号昭和二五年五月二日第三小法廷判決、昭和二四年新(れ)第五九号同年一二月一二日第二小法廷決定、昭和二四年新(れ)第四九二号昭和二五年五月一九日第二小法廷決定、昭和二五年(あ)第九四一号同年一一月一六日第一小法廷決定)それゆえ、論旨は採用することができない。
控訴趣意として主張せず原判決も判断していない事由と上告の適否
刑訴法392条,刑訴法407条,刑訴法405条
判旨
控訴審において主張されず判断もされていない事項は、原則として適法な上告理由にはならない。
問題の所在(論点)
控訴審で全く主張されず、かつ判断もされていない事項を、上告理由として新たに主張することが許されるか(上告理由の適法性)。
規範
上告審は控訴審判決の当否を事後的に審査するものであるから、控訴審において控訴趣意として主張されず、かつ控訴審が職権でも判断しなかった事項を、上告理由として新たに主張することは許されない。
重要事実
被告人の弁護人は、控訴審判決に対して上告を提起したが、その上告趣意に含まれる論旨は、原審(控訴審)において控訴趣意として全く主張されていなかった。また、原審も当該事項について何ら判断を示していなかった。
あてはめ
本件の上告論旨は、原判決と上告趣意を対比すると、原審において控訴趣意として主張されておらず、原審の判断も経ていないことが明らかである。このような事項の主張は、刑事訴訟法上の上告理由としての適法要件を欠く(過去の最高裁判例の準用)。また、職権による破棄事由(刑訴法411条)も認められない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
上告審の事後審的性格を裏付ける判例であり、実務上、控訴審での主張の網羅性が上告審の審判対象を画定することを意味する。ただし、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認や法令違反等がある場合は、刑訴法411条による職権救済の余地が残されている点に留意が必要である。
事件番号: 昭和25(あ)1660 / 裁判年月日: 昭和26年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ記録を精査しても同法411条を適用して判決を破棄すべき事由が認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が、第一審および控訴審の判決を不服として最高裁判所に上告した事案である。弁護人は憲法違反を主張したが、そ…