判旨
刑事訴訟法392条2項に規定された職権調査は、控訴裁判所の義務ではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法392条2項の規定する職権調査が、控訴裁判所にとって法的義務であるか、あるいは裁量的な権限であるか。
規範
刑事訴訟法392条2項が定める職権調査は、裁判所の裁量に委ねられた権利的なものであり、必ず行わなければならない義務ではない。したがって、同条に基づく職権調査を行わなかったとしても、直ちに違法とはならない。
重要事実
被告人が控訴した事案において、控訴裁判所が職権による調査を十分に行わなかったことが、刑事訴訟法392条2項に違反する義務不履行であるとして上告された。
あてはめ
弁護人は、刑事訴訟法392条2項の職権調査を控訴裁判所の義務と解すべきであると主張した。しかし、判例(昭和26年3月27日決定等)によれば、同条の職権調査が義務でないことは既に確立している。本件においても、この判例の趣旨に照らせば、職権調査を行わなかった原判決に判例違反があるとは認められない。
結論
控訴裁判所による職権調査は義務ではない。したがって、職権調査の欠如を理由とする上告は理由がない。
実務上の射程
控訴審の事後審的性格を確認する判例。弁護人が控訴趣旨に含まれない事項について職権発動を促す際、裁判所にはそれに応える法的義務がないことを示す論拠として用いられる。
事件番号: 昭和30(あ)662 / 裁判年月日: 昭和30年10月20日 / 結論: 棄却
刑訴三九二条二項は職権で調査することができる旨を定めたものであつて職権調査義務を定めたものではない。