追起訴の場合には、被告人において特段の限定をしない以上、被告人がはじめにした弁護人選任の効力は、同一機会に追起訴され且つ一つの事件として併合審理された事件の全部に及ぶものと解することは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二六年(あ)第六五四号同年六月二八日第一小法廷判決、集五巻七号一三〇三頁)。
追起訴事実に対する弁護権
刑訴法30条,刑訴規則18条,刑訴規則18条の2(昭和26年最高裁判所規則15号により追加)
判旨
追起訴がなされた場合、被告人が特段の限定をしない限り、既になされた弁護人選任の効力は、同一の機会に追起訴され一つの事件として併合審理された事件の全部に及ぶ。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における弁護人選任の効力の範囲に関し、追起訴され併合審理された事件に対しても、既になされた弁護人選任の効力が当然に及ぶか。
規範
被告人が弁護人を選任する際、特段の限定(特定の事件にのみ限定する旨の意思表示)をしない限り、その選任の効力は、同一の機会に追起訴され、かつ一つの事件として併合審理された事件のすべてに及ぶと解するのが相当である。
重要事実
被告人Aに対し、当初の起訴事実とは別の事実について追起訴がなされた。この追起訴にかかる事件は、当初の事件と同一の機会に審理され、かつ一つの事件として併合審理が行われた。弁護人は、当初の起訴段階で選任されていたが、追起訴された事件について別途選任の手続きはとられていなかった。弁護人は、追起訴された事件について弁護人選任の効力が及ばないと主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人Aは弁護人選任にあたり、特定の事件にのみ限定するなどの「特段の限定」をしていた事実は認められない。そして、追起訴された事件は、当初の事件と同一の機会に審理され、一つの事件として併合審理されている。このような場合、被告人の防衛権を十全に確保する観点からも、特段の事情がない限り当初の弁護人がそのまま弁護活動を継続することが被告人の合理的意思に合致するといえる。したがって、既になされた弁護人選任の効力は追起訴事件にも及ぶと解される。
結論
追起訴され併合審理された事件についても、当初の弁護人選任の効力は及ぶ。
実務上の射程
併合審理を前提とする追起訴の場合に限定される。実務上、追起訴時の弁護人選任の有無が公判手続の適法性に影響する場合(必要的弁護事件など)の判断基準として活用される。ただし、被告人が明示的に限定した場合には及ばない点に留意が必要である。
事件番号: 昭和26(あ)1275 / 裁判年月日: 昭和26年10月5日 / 結論: 棄却
一 第一審第九回公判において検察官が被告人に対する昭和二四年八月一三日附及び同二五年一月一八日附の各起訴条記載の公訴事実について訂正の申立をしていること、その中には訴因の変更と認めるのを相当とする部分が存すること、これに対し裁判所が取り立てて訴因変更の許可決定を為さず、又その変更を被告人に更めて通知していないことはすべ…
事件番号: 昭和27(あ)6491 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】記録上の弁護人選任書が原本でなく控である場合でも、弁護人が現に選任され活動している実体がある以上、訴訟手続の違憲・違背には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、記録に綴られている弁護人選任書が原本ではなく控であり、裁判長の印もないことを理由に、訴訟手続の違憲および違背を主張して上告した事案。 …