炭鉱経営者が、その炭鉱に使用する労務者に加配米として支給するため、米麦を買い入れる行為は、物価統制令一一条但書にいう「当該契約ヲ為スコトガ自己ノ業務ニ属スル」場合に当ると解すべきであつて原判決になんら同条の解釈について誤りはない。(参照昭和二四年(れ)第一六八一号同二六年九月四日第三小法廷判決、集五巻一〇号一八三五頁)
物価統制令第一一条但書に当る例−炭鉱経営者がその労務者の加配米麦を購入する場合
物価統制令11条但書
判旨
控訴審において被告人の提出した控訴趣意書に対する判断が遺脱されていたとしても、その主張自体に理由がないことが明らかな場合には、判決に影響を及ぼすべきものとはいえず、上告受理の事由には当たらない。
問題の所在(論点)
控訴審が適法な控訴趣意書の一部について判断を遺脱した場合、直ちに刑事訴訟法411条の破棄事由となるか。
規範
控訴審において控訴趣意書の判断遺脱があったとしても、当該趣意の内容が法令違反の主張であり、かつその主張自体に理由がないことが客観的に明らかな場合には、刑事訴訟法411条を適用して原判決を破棄すべき事由(判決に影響を及ぼすべき法令違反)には当たらない。
重要事実
被告人は物価統制令違反等で起訴され、控訴審において弁護人だけでなく被告人本人からも控訴趣意書が適法に提出されていた。しかし、原判決は弁護人の控訴趣意についてのみ判断を示し、撤回もされていない被告人本人の控訴趣意については何ら判断を示さなかった。被告人はこの判断遺脱を理由に上告した。
あてはめ
記録によれば、被告人の控訴趣意は法令違反を主張するものであったが、その主張自体からして理由がないことは明白であった。そうであれば、仮に原審がこれについて判断を示したとしても結論は変わらず、判断遺脱が判決の結論に影響を及ぼしたものとは認められない。したがって、職権破棄の必要性は認められない。
結論
被告人の控訴趣意に対する判断遺脱は認められるが、結論に影響しないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における「判断遺脱」の救済限界を示す。控訴趣意に対する判断は本来必須であるが、その内容が明らかに理由を欠く場合には、手続的違法があっても実体的な結論に影響しないとして、破棄を否定する実務上の判断枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和25(あ)1123 / 裁判年月日: 昭和26年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、かつ同法411条を適用して判決を破棄すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断を不服として上告を申し立てた事案であるが、提出された上告趣意書の内容、および訴訟記録の詳細については本判決文からは不明…