判旨
外国人が連合国最高司令官の承認を受けずに本邦に入った場合、本邦における居住権の有無にかかわらず外国人登録令3条に違反する。
問題の所在(論点)
不法に入国した外国人であっても、本邦に居住権を有すると主張する場合に、外国人登録令に基づく登録義務違反(同令3条違反)が成立するか。
規範
外国人が連合国最高司令官の承認を受けないで本邦に入った以上、その者が本邦において居住権を有しているか否かを問わず、一律に外国人登録令3条(当時の登録義務規定)の適用対象となる。
重要事実
被告人らは、連合国最高司令官の承認を受けることなく日本に入国した。弁護人は、被告人らが日本における居住権を有していることを理由に、外国人登録令3条の登録義務を課すことは法令の解釈・適用として誤りであり、憲法にも違反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、外国人登録制度の趣旨に鑑み、入国の適法性や居住権の存否といった実体的な権利関係は、同令が定める登録義務の発生を左右しないと判断した。すなわち、連合国最高司令官の承認という形式的要件を欠いて入国した事実がある以上、居住権の有無にかかわらず同令の規制に服するものと解される。
結論
被告人らの行為は外国人登録令3条に違反し、原判決の判断は正当であるとして上告を棄却した。
実務上の射程
本判決は、管理・行政上の義務(登録義務)が居住権等の実体法上の権利の有無にかかわらず発生することを示したものである。現代の出入国管理及び難民認定法等における手続的義務の遵守を論ずる際、実体的な在留資格の有無と手続違反の成否を切り離して考える基礎的な論理として参照し得る。
事件番号: 昭和29(あ)3594 / 裁判年月日: 昭和32年6月19日 / 結論: 棄却
一 憲法第二二条は外国人の日本国に入国することについてなにら規定していないものというべきである。 二 外国人登録令第三条、第一二条は憲法第二二条に違反しない。