一 外国人は不法に本邦に入つた者といえども、外国人登録令(昭和二四年政令第三八一号による改正前のもの)第四条第一項所定の登録申請義務がある。 二 不法入国の外国人に対し右登録申請義務を課したからといつて、自己の不法入国の罪を供述するのと同一の結果を来すものということはできない。
一 不法入国の外国人と外国人登録令(昭和二四年政令第三八一号による改正前のもの)第四条第一項による登録申請義務 二 不法入国の外国人に対し右登録申請義務を課することは自己に不利益な供述を強要することとなるか
外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)2条,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)3条,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)4条,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)12条1号,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)12条2号,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)13条,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)14条,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)付則2項,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正前のもの)付則3項,外国人登録令施行規則(昭和22年内務省令28号)2条(別記1号様式を含む),憲法38条1項
判旨
外国人登録令4条1項にいう「外国人」には不法入国者も含まれ、登録申請により不法入国の罪を自白する結果を招くとしても、登録申請義務の履行に期待可能性がないとはいえない。
問題の所在(論点)
不法に入国した外国人が、外国人登録令4条1項に基づく登録申請義務を負うか。また、自己に不利益な事実の申告を強制されない権利や期待可能性の観点から、不法入国者に当該義務を認めることができるか。
規範
1. 外国人登録令の目的は、在留する一切の外国人の居住・身分関係を明確にし、適正な取扱いを期することにある。したがって、同令4条1項の「外国人」とは、本邦に入った一切の者を指し、不法入国者を除外すべきではない。 2. 登録申請は不法入国の犯罪申告を要求するものではなく、出入国の管理それ自体を目的とするものでもないため、不法入国者であっても登録申請義務の履行に期待可能性がないとは認められない。
重要事実
不法に日本に入国した被告人が、外国人登録令4条1項に基づく外国人登録の申請を行わなかったとして、同令違反(登録不申請)に問われた。原審は、不法入国者に登録申請義務を課すことは、自己の犯罪(不法入国罪)を供述させるのと同一の結果を招き、期待可能性がないとして無罪を言い渡した。これに対し検察官が上告した事案である。
あてはめ
1. 外国人登録令の目的(1条)は、在留外国人の居住・身分関係の明確化であり、在留の原因や目的のいかんにかかわらず達成される必要がある。同令2条の外国人の定義にも不法入国者を除外する旨の規定はない。 2. 登録申請手続において不法入国の罪の申告は要求されておらず、申請が直ちに自己の犯罪を供述することと同視はできない。登録申請の本質は居住関係等の明確化にあり、出入国管理それ自体と直接の関係はないため、不法入国の罪で処罰される危険を理由に期待可能性を否定することは、登録制度の本質を誤解するものである。
結論
不法入国者であっても外国人登録令4条1項の登録申請義務を負う。原判決が不法入国者に登録申請義務はないとした判断は、法令の解釈を誤った違法があるため、破棄差し戻しを免れない。
実務上の射程
行政法上の届出義務と刑事罰の関連、あるいは憲法38条1項(自己負罪拒否特権)が行政上の義務に及ぶかという文脈で活用できる。行政目的の達成のために居住関係等の客観的事実の申告を命じることは、直ちに刑事責任を問うための自白強制には当たらないとする判断枠組みとして重要である。
事件番号: 昭和27(あ)1279 / 裁判年月日: 昭和28年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人登録法(改正前の外国人登録令)において、新登録申請をなす資格を有しない者が、資格があるかのように装って虚偽の申請を行う行為は、同令違反として処罰の対象となる。また、具体的な証拠に基づかない差別的取扱いの主張は、憲法違反の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は、改正外国人登録令附…