被告人両名の弁護人の上告趣意第一点は違憲をいうけれども、その実質は、朝鮮人は外国人登録令二条にいう外国人に当らないことを主張するに帰する。しかし本件において朝鮮人たる被告人等につき同令の適用を認めているのは、朝鮮人が同令二条にいう外国人であるという判断に基くものではなく、同令一一条一項により朝鮮人は同令の適用については当分の間これを外国人とみなすと規定されていることによるものであつて、一般に朝鮮人が憲法上の日本国民であるか否かを決定する意味は少しも含まれているものではない。
日本内地に居住する朝鮮人と外国人登録令の適用
外国人登録令2条,外国人登録令11条
判旨
朝鮮人が外国人登録令上の外国人に該当するか否かについて、同令11条1項が朝鮮人を同令の適用については当分の間外国人とみなすと規定している以上、同規定に基づき同令の適用を認めるべきである。
問題の所在(論点)
外国人登録令2条および11条1項に基づき、朝鮮人に対して同令を適用することが許されるか。特に、朝鮮人が憲法上の日本国民であるか否かの判断を先行させる必要があるか。
規範
特定の集団が法律上の外国人に該当するか否かの判断において、当該法律自体に特定の対象を「外国人とみなす」旨の明文の規定が存在する場合、その規定に基づき当該法律の適用範囲を画定すべきである。この際、憲法上の日本国民に該当するか否かの一般的判断を伴う必要はない。
重要事実
朝鮮人である被告人両名に対し、外国人登録令違反の罪が問われた事案。弁護人は、朝鮮人は外国人登録令2条にいう「外国人」には当たらないとして、同令の適用を争い上告した。
あてはめ
外国人登録令11条1項は「朝鮮人は同令の適用については当分の間これを外国人とみなす」と明示している。本件被告人らに同令を適用することは、同令2条の「外国人」の解釈として行われるものではなく、この11条1項の「みなし規定」に基づき行われるものである。したがって、朝鮮人が憲法上、一般的に日本国民であるか否かという点について判断を下すまでもなく、同令の適用対象となることは法的に確定しているといえる。本件の上告趣意は同条項の違憲を主張するものでもなく、単なる法令違反の主張にすぎない。
結論
朝鮮人に対し、外国人登録令11条1項に基づき同令を適用することは適法である。
実務上の射程
特定の身分や地位(本件では朝鮮人)を有する者に対し、行政上の目的から「外国人とみなす」という法擬制が置かれている場合、その合憲性が争われない限り、当該規定を根拠として直ちに適用を肯定できる。国籍や国民概念の一般的定義とは切り離して、個別法令の適用範囲を特定する際の論理として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)3911 / 裁判年月日: 昭和30年12月14日 / 結論: 棄却
外国人登録令(昭和二二年勅令第二〇七号)は憲法第一四条に違反しない。