判旨
勾留の違法は、不服申立て等の別途の手続によって救済されるべきものであり、それ自体を理由として本案判決の破棄を求める上告理由とすることはできない。
問題の所在(論点)
勾留手続に違法がある場合、それを理由として原判決(有罪判決)の取消しを求めることができるか(上告理由となるか)。
規範
勾留等の身体拘束手続に違法があったとしても、その救済は準抗告や特別抗告等の独立した不服申立て手続、あるいは国家賠償請求等の別途の手続によって図られるべきである。したがって、手続上の違法は、その後の公判手続や実体判決の妥当性に直接影響を及ぼすものではない限り、上告理由には当たらない。
重要事実
被告人は不法入国および登録証明書不携帯の罪で起訴された。第一審において、不法入国の点は無罪となったが、登録証明書不携帯の点は有罪とされた。これに対し弁護人は、本件の勾留手続が違法であること、および登録証明書不携帯の所為が処罰に値しないこと等を理由として上告を申し立てた。
あてはめ
最高裁は、仮に弁護人の主張するように勾留が不法であったとしても、不法勾留に対する救済は刑事訴訟法が定める別途の手続(準抗告等)によるべきであると判断した。また、本件の有罪部分(登録証明書不携帯)については、不法入国が無罪となったこととは別個に成立するものであり、処罰を否定すべき事情も認められない。したがって、勾留の違法を前提とする上告趣意は、実体的な有罪判決を左右する正当な理由にはなり得ないといえる。
結論
本件上告は棄却される。勾留の違法は独立した手続で争われるべきであり、上告理由とはならない。
実務上の射程
刑事手続の各段階(捜査・身体拘束・公判)の瑕疵が、どの範囲で後続の手続や判決の効力に影響を及ぼすかという「違法の承継」の議論において、身体拘束の違法は原則として公判手続や判決の効力に影響しないことを示す基本的判例である。
事件番号: 昭和26(あ)2110 / 裁判年月日: 昭和26年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由において、原審で主張・判断されていない第一審判決の瑕疵を争うことや、検察官の処分の違法を直接争うことは認められない。 第1 事案の概要:上告人は、第一審判決に瑕疵があること、および検察官の処分に違法があることを上告趣意として主張した。しかし、これらの点について原審(控訴…