判旨
刑事訴訟法212条2項に基づく準現行犯逮捕の適法性は、同項各号の事由に該当し、かつ、犯罪の直後であることが明白であるか否かによって判断される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法212条2項に基づく準現行犯逮捕が認められるための要件、および本件逮捕が同条項に該当し適法といえるか。
規範
刑事訴訟法212条2項所定の各号(罪を犯したと顕著な証跡がある等)のいずれかに該当し、かつ、「罪を犯してから間がないと明らかに認められる」という準現行犯の要件を満たす場合には、無令状での逮捕も適法となる。この判断は、逮捕時の客観的事態に基づき、犯罪との時間的・場所的近接性や犯人性の明白性を総合して決すべきである。
重要事実
被告人が特定の犯罪を行った後、司法警察員によって逮捕された。第一審の証人(A、B、C)の供述によれば、逮捕に至るまでの経緯において、被告人が罪を犯した直後であると認められる状況が存在した。弁護人は、この逮捕手続およびそれに続く拘禁が憲法31条、38条1項・2項に反する違法なものであると主張して上告した。
あてはめ
判決文によれば、第一審における証人らの各供述を総合すると、被告人に対する逮捕の経緯において、刑訴法212条2項の準現行犯にあたる事実が認められる。具体的な犯行態様や証跡の有無、逮捕の時間的場所的状況の詳細は判決文からは不明であるが、原判決が認定した事実関係に照らせば、司法警察員が被告人を準現行犯人として逮捕したことは、法定の要件を満たすものとして相当であると解される。
結論
本件逮捕は刑訴法212条2項の準現行犯逮捕として適法であり、これを前提とする憲法違反の主張には理由がない。
実務上の射程
準現行犯逮捕の適法性を検討する際の基礎的な判断枠組みを示すものである。答案上は、同条2項各号の該当性(本件では証跡の顕著性等)を確認した上で、時間的・場所的近接性から「罪を犯してから間がないと明らかに認められる」といえるかを、事案の具体的事実を引用して論じる際に活用する。
事件番号: 昭和26(あ)1112 / 裁判年月日: 昭和27年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】犯行後に現場から立ち去る動きを見せている状況であっても、時間的・場所的近接性が保たれていれば、刑事訴訟法212条1項の「現に罪を行い終った者」に該当し、現行犯逮捕は適法である。 第1 事案の概要:被告人が犯行後、任意に車両から降車して歩行し、現場から立ち去ろうとしていた状況において、捜査官らが被告…
事件番号: 昭和39(あ)492 / 裁判年月日: 昭和42年9月13日 / 結論: 棄却
一、爆発物取締罰則第一条に「人ノ身体財産ヲ害セントスルノ目的ヲ以テ」とあるのは、必ずしも、人の身体・財産を害することが爆発物使用の唯一、排他的な動機であることを要求したものではない。 二、犯罪の発生後直ちに現場に急行した警察官が、ひきつづき犯人を捜索のうえ、犯行後四、五十分を経過した頃、現場から約一、一〇〇メートルの場…