記録に徴する裁判官でない者が原審裁判に関与した形跡はない(所論斎藤判事は原審裁判所判事であり、同裁判所事務局長を兼務していることは明らかである)。そして事務局長を兼務している判事は偏頗又は不公平な裁判をなすおそれがあると断すべき何等の理由がない。従つて斎藤判事が原審裁判に関与したからとてその裁判所の構成は公正でないと認むべきいわれはなく、所論違憲の主張はその前提を欠き採用するを得ない。
事務局長を兼務する判事の裁判関与と公平な裁判所の裁判
憲法37条1項,刑訴法405条1号
判旨
裁判所事務局長を兼務する判事が裁判に関与したとしても、それだけで偏頗又は不公平な裁判をなすおそれがあるとは断じ得ず、裁判所の構成が不公正であるとはいえない。
問題の所在(論点)
裁判所事務局長を兼務する判事が裁判に関与した場合、その裁判所の構成は不公正であり、憲法(公正な裁判を受ける権利等)に違反するか。
規範
裁判所法等の規定に基づき適法に任命された判事が、裁判外の行政職(事務局長等)を兼務している場合であっても、その事実のみをもって直ちに当該裁判官が偏頗又は不公平な裁判をなすおそれがあるとは認められない。裁判所の構成の適法性は、裁判官としての資格と職務遂行の客観的公正性によって判断されるべきである。
重要事実
被告人が原審の裁判について上告した際、原審裁判に関与した斎藤判事が、当該裁判所の事務局長を兼務していた。弁護人は、このような兼務者が裁判に関与することは、裁判所の構成が公正ではなく憲法に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
記録によれば、当該判事は原審裁判所の判事であり、同時に同裁判所の事務局長を兼務していたことは明らかである。しかし、事務局長という行政的職務を兼ねているからといって、その判事が具体的事件において偏頗または不公平な裁判を行う具体的蓋然性は認められない。したがって、裁判官でない者が裁判に関与したという事実はなく、裁判所の構成が不公正であると認めるべき客観的な理由は存在しない。
結論
事務局長を兼務する判事が裁判に関与しても、裁判所の構成は公正であり、憲法に違反しない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
裁判官の兼務関係が裁判の公正性に与える影響についての判断を示したものである。司法試験においては、裁判所の構成の適法性や、裁判官の除斥・忌避・回避の文脈で、職務の公正性を疑わせる外観的・客観的事由の有無を論じる際の比較材料として利用できる。ただし、本判決は極めて簡潔な判断にとどまっており、実務上の射程は「行政職の兼務のみでは不公正とはいえない」という形式的な適法性の確認に限定される。
事件番号: 昭和26(れ)808 / 裁判年月日: 昭和26年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が一審または二審の判決における刑の量定が重すぎることを理由として上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書の内容は、実質的に量刑の不当を訴えるものであった。 第2 問題の所在(論点…