判旨
憲法25条は生存権を保障するが、個別の具体的権利を直ちに付与するものではなく、原判決が同条に違反しないとした判断は過去の最高裁大法廷判決の趣旨に照らし正当である。
問題の所在(論点)
憲法25条(生存権)の規定に基づき、原判決の妥当性や根拠法令の違憲性を争うことができるか、および同条の権利の具体的性格が問題となる。
規範
憲法25条の規定は、国に対して国民の生活を保障すべき政治的・道徳的な義務を課したものであり、個々の国民に対して具体的・直接的な請求権を付与したものではない。したがって、同条の趣旨に反するか否かは、立法府の広範な裁量を前提として、著しく不合理な場合に限られる。
重要事実
被告人らが特定の犯罪事実(判決文からは罪名・態様の詳細は不明)について有罪判決を受けた際、その前提となる法令または処遇が憲法25条の保障する生存権に反するものであると主張し、上告した事案である。弁護人は、盗難届に関する証拠調べの不備や、生存権侵害を理由に原判決の破棄を求めた。
あてはめ
最高裁判所は、昭和23年9月29日大法廷判決および昭和23年4月7日大法廷判決の趣旨を引用し、憲法25条違反の主張を退けた。これは、同条がプログラム規定的な性格を有し、直接的に裁判上の権利を創設するものではないとする確立された判例法理に基づく判断といえる。本件においても、生存権を根拠に有罪判決の効力を争うことはできないと判断された。
結論
本件各上告を棄却する。原判決が憲法25条に違反するとの主張は、上告理由に当たらない。
実務上の射程
生存権をめぐる憲法訴訟において、具体的権利性の否定(プログラム規定説的な構成)を示す先例として活用される。刑事事件の弁護において生存権侵害を理由とする上告が困難であることを示す実務的な意義がある。
事件番号: 昭和25(あ)2454 / 裁判年月日: 昭和26年2月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が憲法25条違反を主張するも、原判決に同条の解釈誤りや違憲の判断はなく、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人が、憲法25条(生存権)に関連する主張を上告理由として掲げ、原判決の破棄を求めて上告した。判決文の記述からは具体的な公訴事実や下級審の判断内容は不明であ…