判旨
控訴趣旨として主張せず、原判決の判断を経ていない事項については、適法な上告理由とはなり得ない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上、控訴審で主張せず原判決が判断していない事項を、上告審において新たに上告理由として主張することができるか。
規範
控訴審において主張されず、かつ原判決が判断を行っていない事項については、原則として適法な上告理由として主張することはできない。
重要事実
上告人は、上告趣意第一点および第二点において、特定の事項について主張を行ったが、これらの事項は控訴審において控訴趣旨として主張されておらず、原判決(控訴審判決)による判断も経ていなかった。また、上告趣意第三点では量刑不当を主張していた。
あてはめ
上告人が主張する上告趣意第一点および第二点は、いずれも控訴趣旨として提出されておらず、原判決の判断の対象となっていない。したがって、これらは上告審の審査対象としての適格性を欠く。また、量刑不当の主張についても、記録を精査した結果、刑訴法411条2号(刑の言渡しが著しく不当であること)を適用して職権で判決を取り消すべき事由は認められない。
結論
本件上告を棄却する。控訴審で主張していない事項に基づく上告は、不適法である。
実務上の射程
刑事訴訟において、上告審は原則として事後審であり、控訴審判決の当否を審査するものであるため、控訴審で提出されなかった新事由の主張は制限されるという実務上の運用を裏付けるものである。
事件番号: 昭和25(あ)620 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において主張されず原判決が判断を示していない事項を、最高裁判所への上告理由(刑訴法405条)として主張することは、原則として適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審判決に対する控訴趣意として主張していなかった事項について、上告審において初めて判例違反および憲…