判旨
原審において主張されず、原審が判断していない事項に関する上告は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
原審で主張・判断されていない事項を上告理由とすることができるか。また、形式的に憲法違反を主張しつつも実質が訴訟法上の解釈論である場合に、適法な上告理由として認められるか。
規範
上告審において主張できる事項は、原則として原審において主張され、かつ原審の判断を経たものに限られる。また、形式的に憲法違反の主張をなしていても、その実質が単なる刑事訴訟法の解釈論に過ぎない場合は、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人が、原審で一切主張されておらず、したがって原審の判断も受けていない事項について、最高裁判所に対し上告を申し立てた事案である。弁護人は憲法違反を主張の根拠としていた。
あてはめ
本件において、弁護人が主張する点は原審において全く主張されておらず、原審の判断を経ていない。また、憲法違反という語を用いてはいるものの、その実質は刑事訴訟法の解釈論に過ぎないと評価される。したがって、刑事訴訟法411条を適用すべき特段の事情も見当たらない。
結論
本件上告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
上告審の事後審的性格を確認する裁判例である。司法試験の答案作成においては、原審で尽くされていない新主張の制限、および実質を伴わない憲法違反主張の排除(上告理由の峻別)という文脈で活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)2361 / 裁判年月日: 昭和27年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において主張されなかった事項を上告審で判例違反として主張することは、刑事訴訟法405条所定の適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について上告を提起した際、弁護人が上告趣意において、控訴審で控訴趣意として主張していなかった事項について判例違反を主張した事案。原審(控…