檢事の附帶控訴の制度は、その立法政策上の當否論は別とし、憲法違反でないことは既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第二二四號同年一一月二四日大法廷判決)
檢事の附帶控訴の合憲性
憲法37條1項,舊刑訴法399條
判旨
検察官による附帯控訴の制度は憲法に違反せず、また、執行猶予の言渡しの有無は事実審裁判所の専権事項に属する。
問題の所在(論点)
1. 検察官の附帯控訴制度は憲法に違反するか。 2. 上告審において、事実審の判断した執行猶予の不付与を争うことができるか。
規範
1. 検察官による附帯控訴制度は、立法政策上の当否はともかく、憲法上禁止されるものではない。 2. 刑の執行猶予を言い渡すか否かの判断は、事実審裁判所の裁量(専権事項)に委ねられる。
重要事実
被告人が上告を提起した事案において、弁護人は、第一点として検察官の附帯控訴制度が憲法に違反する旨を、第二点として執行猶予の言渡しをすべき旨を主張して上告した。
あてはめ
1. 附帯控訴の憲法適合性については、既に大法廷判決(昭和23年11月24日)により合憲性が確定している。したがって、本件においても憲法違反の主張は採用できない。 2. 執行猶予の当否については、事実審における証拠調べに基づき決定されるべき専権事項である。上告審においてこれを求めることは、当時の刑訴応急措置法13条2項(現行の刑罰不当を上告理由としない法理等に相当)に照らし不適法といえる。
結論
検察官の附帯控訴制度は合憲であり、また執行猶予の有無は事実審の専権事項であるため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
附帯控訴制度(現行法下では実質的に控訴権の範囲の問題として処理されるが)の合憲性と、刑の量定(特に執行猶予)に関する事実審の裁量権を再確認する際に参照される。ただし、現行法における量刑不当の上告理由としての可否については、別途、著しく刑の量定が不当である場合の判例法理に留意が必要である。
事件番号: 昭和24(れ)743 / 裁判年月日: 昭和24年6月7日 / 結論: 棄却
刑の執行を猶豫しないことが基本的人權を侵害するものでないことは當裁判所の判例(昭和二二年(れ)第二〇一號昭和二三年三月二四日大法廷判決)とするところであるから、論旨は採用することができない。