判旨
検察官が公判廷で被告人の自白を強制した事実は記録上認められず、憲法違反を主張する上告理由の実質が単なる訴訟法違反にすぎない場合は、上告適法の理由にはならない。
問題の所在(論点)
検察官による自白の強制があったといえるか、また憲法違反を主張する上告理由の実質が訴訟法違反にすぎない場合に上告が適法となるか。
規範
上告趣意が憲法違反を主張するものであっても、その実質において単なる訴訟法違反の主張に帰する場合には、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人両名の弁護人が、検察官が公判廷において被告人らの自白を強制したとして憲法違反を理由に上告を申し立てた事案。
あてはめ
記録を調査しても、検察官が公判廷で被告人等の自白を強制した事実は認められない。したがって、弁護人が主張する憲法違反の訴えは、その実質において単なる訴訟法違反の主張に帰するものである。また、刑訴法411条を適用して職権で判決を取り消すべき事由も認められない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
憲法違反を形式的に掲げても、実質的な根拠を欠く場合や単なる法令違反にすぎない場合は上告理由にならないという門前払いの法理を示す。実務上は、憲法違反の主張が単なる事実誤認や法令適用の不当を糊塗するものでないかを峻別する際の基準となる。
事件番号: 昭和26(あ)2472 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が憲法違反を主張するものであっても、その実質が単なる刑事訴訟法411条該当事由の主張にすぎない場合は、適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人及び被告人自身が、憲法違反を主張して上告を申し立てた事案。しかし、その主張内容は憲法の具体的な条項への抵触を基礎づけるもの…