判旨
憲法違反を主張していても、その実質が単なる訴訟法違反や量刑不当の主張に過ぎない場合は、刑訴法405条所定の適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反を形式的に主張していても、その実質が訴訟法違反や量刑不当に過ぎない場合に、刑訴法405条の上告理由として認められるか。
規範
最高裁判所に対する上告理由は刑訴法405条各号に限定されており、憲法違反の主張であっても、その実質が単なる訴訟法違反(法令違反)や量刑不当に帰するものは、同条の適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人側は、原判決が憲法11条(基本的人権の享有)、14条(法の下の平等)、18条(身体的自由)に違反するとして上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的内容を精査すると、原審の訴訟手続の適否や量刑の重さを争うものであった。
あてはめ
弁護人が主張する憲法11条および14条違反は、その実質において単なる訴訟法違反の主張に過ぎず、憲法問題の判断を要するものではない。また、憲法18条違反の主張も、結局は量刑が不当であるという事実に帰着する。このように、形式的に憲法条項を引用していても、実質的に憲法判断を求めているとはいえないため、適法な上告理由とは認められない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却すべきである。
実務上の射程
刑事訴訟において、憲法違反を理由とする上告を構成する際には、単なる法令違反や事実誤認・量刑不当を憲法問題にすり替えるのではなく、具体的な憲法解釈の誤りを指摘する必要があることを示す実務上の指針となる。
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