被告人の精神鑑定の結果その精神の發育状態が年齢十五歳程度のものであつても、本件犯行當時被告人の事實上の年齢が満十六歳を超えていた以上、少年法が適用せられないことは同法の規定で明らかである。
犯行當時満十六歳以上の者の精神の發育状態が十五歳程度である場合と少年法の適用
少年法7條,少年法2條
判旨
少年法の適用対象となる「少年」の該否(同法2条1項)は、精神的な発育状態(精神年齢)にかかわらず、犯行当時の実年齢(実効年齢)によって決せられる。
問題の所在(論点)
少年法2条1項にいう「少年」の定義について、精神的な発育状態が未成熟な場合(精神年齢が少年法の対象年齢に相当する場合)、実年齢が対象外であっても同法の適用を受けることができるか。また、実年齢が対象内である場合の精神状態と刑の減軽の関係が問題となる。
規範
少年法が適用される「少年」とは、同法の規定(2条1項)に基づき、20歳に満たない者を指す。この年齢要件の判断は、行為者の精神的発育状態や精神年齢の如何を問わず、客観的な事実としての実年齢を基準として一律に行われるべきものである。
重要事実
強盗未遂等の罪に問われた被告人について、精神鑑定の結果、その精神の発育状態は15歳程度(精神年齢)であると判定された。しかし、本件犯行当時、被告人の戸籍上の実年齢は満16歳を超えていた。被告人側は、精神年齢が15歳程度であることから少年法が適用されるべきである旨、あるいは刑の減軽等について主張した。
あてはめ
少年法は年齢という客観的な基準によってその適用範囲を画定している。本件被告人は、たとえ精神鑑定によって精神の発育状態が15歳程度であると認められたとしても、犯行当時の実効年齢が満16歳を超えている(当時の少年法上の年齢区分に照らして判断される)。したがって、精神年齢を根拠に法適用の有無を左右することはできない。なお、被告人が犯行当時心神耗弱者であった点については、刑法に基づき法律上の減軽がなされるが、更なる酌量減軽を行うか否かは裁判所の裁量に属する事項である。
結論
犯行当時の実年齢が少年法の規定に該当する以上、精神年齢の如何にかかわらず同法が適用される。本件では、実年齢に基づき法が適用され、かつ心神耗弱による減軽がなされた原判決に違法はない。
実務上の射程
少年法の「年齢」は実年齢(暦年齢)を指すことを明示した。被告人の精神的未成熟性は、少年の保護処分や刑事罰の量刑(刑法39条2項の心神耗弱など)において考慮されるべき事情ではあるが、少年法適用の前提となる資格要件そのものを修正するものではない。答案上は、年齢要件の文言解釈において、画一的・客観的基準の重要性を示す根拠として利用できる。
事件番号: 昭和23(れ)632 / 裁判年月日: 昭和23年10月7日 / 結論: 棄却
一 少年法第八條の適用をうける少年は、犯罪時においてではなく、判決時において十八歳に滿たない者に限ると解すべきことは既に當裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一二一號、昭和二二年一二月一一日第一小法廷判決)の示すとおりである。 二 被告人が犯行當時飮酒の結果心身耗弱若しくは心神喪失の状態にあつたことについては記録上原審にお…
事件番号: 昭和25(れ)415 / 裁判年月日: 昭和25年6月1日 / 結論: 棄却
少年法第五二條にいわゆる少年とは事實審裁判所の判決時における少年を指すものである。