一 少年法第八條の適用をうける少年は、犯罪時においてではなく、判決時において十八歳に滿たない者に限ると解すべきことは既に當裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一二一號、昭和二二年一二月一一日第一小法廷判決)の示すとおりである。 二 被告人が犯行當時飮酒の結果心身耗弱若しくは心神喪失の状態にあつたことについては記録上原審において詮議せられた何等の形跡もなく從つて原審がこれについて特に審判しなかつたからといつて所論の違法ありとすることはできない。
一 少年法第八條の年齡を算定する時期 二 心身耗弱若しくは心身喪失の主張のない場合とその審判の要否
少年法8條,刑法39條,刑訴法360條2項
判旨
少年法上の特典を受ける対象となる「少年」に該当するか否かは、犯罪行為時ではなく判決時を基準として判断すべきである。
問題の所在(論点)
少年法が定める年齢制限による特典(死刑・無期刑の緩和等)の適用に関し、基準となる時期を「犯罪時」とすべきか、あるいは「判決時」とすべきか。
規範
少年法による保護的な取り扱い(旧少年法8条の適用等)を受ける資格があるか否かは、犯罪時の年齢ではなく、現実に裁判が行われる「判決時」において18歳(現行法上の年齢区分に照らせば各該当年齢)に満たない者に限られる。
重要事実
被告人は昭和3年6月6日生まれであり、昭和21年6月4日の犯罪時には18歳まであと2日という年齢であった。しかし、原判決時(昭和23年4月2日)には既に18歳を超えていた。
あてはめ
被告人は、犯行時点では18歳未満であったものの、原判決の時点では既に18歳に達していた。判旨によれば、少年法の適用対象は判決時を基準に決定されるため、被告人はもはや少年法上の特典を受けるべき「少年」には該当しない。したがって、原判決が一般の刑事手続に従って処断したことに法令の適用上の違法は認められない。
結論
少年法の適用基準時は判決時である。本件被告人は判決時に18歳を超えていたため、少年法上の特典は適用されない。
実務上の射程
刑事訴訟法・少年法における基準時の原則を示す。現在の少年法等においても、原則として審判・判決時の年齢を基準とする考え方の基礎となる判例である。答案上は、少年法の適用範囲や逆送後の刑事裁判における刑の緩和措置(少年法51条等)の成否を論ずる際の前提として引用する。
事件番号: 昭和25(れ)415 / 裁判年月日: 昭和25年6月1日 / 結論: 棄却
少年法第五二條にいわゆる少年とは事實審裁判所の判決時における少年を指すものである。
事件番号: 昭和23(れ)1538 / 裁判年月日: 昭和24年6月29日 / 結論: 棄却
一 法令違反の有無は原判決言渡の時の事實を基準として決定すべきもので、その後に生じた事實までも斟酌して決定すべきものではない。このことは舊少年法第八條を適用すべきか否かについても同様である。本件においては、被告人は原判決言渡當時十八歳未満であつたことは明白であるから、原判決が舊少年法第八條を適用して不定期刑を言渡したの…