一 法令違反の有無は原判決言渡の時の事實を基準として決定すべきもので、その後に生じた事實までも斟酌して決定すべきものではない。このことは舊少年法第八條を適用すべきか否かについても同様である。本件においては、被告人は原判決言渡當時十八歳未満であつたことは明白であるから、原判決が舊少年法第八條を適用して不定期刑を言渡したのは正當であり、その後被告人が満一八歳に達した事實があるからといつて、原判決に法令違反があるということはできない。 二 舊少年法第八條の不定期刑の場合でも自由が制限される限度即ち長期及び短期は裁判所の言渡す宣告刑で定まつているのであつて、この宣告刑の執行に關する一態様として行政處分によつて假の釋放が行はれるのである。舊少年法第八條による假出獄も刑法第二八條による假出獄も行政機關による行政處分たる性質に異る所はない。
一 不定期刑の言渡を受けた當時十八歳未満の少年がその後満十八歳に達した場合その判決の法令違反の有無 二 舊少年法による假出獄と行政處分
舊刑訴法490條,舊少年法8條,舊少年法10條,刑法28條
判旨
上訴審における法令違反の有無は、原判決言渡時の事実を基準として決定すべきであり、不定期刑を言い渡した後に被告人が成人したとしても原判決に法令違反は認められない。また、不定期刑における仮出獄は司法行為ではなく、行政処分としての性質を有する。
問題の所在(論点)
不定期刑の適否を判断する基準時はいつか。また、不定期刑における仮出獄は司法行為と解されるか。
規範
法令違反の有無は原判決言渡の時の事実を基準として決定すべきであり、その後に生じた事後的事実を斟酌すべきではない。また、少年法上の不定期刑における仮出獄は、刑の執行に関する一態様として行刑機関が行う行政処分であり、司法行為には該当しない。
重要事実
被告人に対し、原審は旧少年法8条(現行少年法52条1項に相当)を適用し、不定期刑を言い渡した。原判決の言渡当時、被告人は18歳未満であったが、上告審の段階で被告人が満18歳に達したため、弁護側は原判決の法令違反および仮出獄の法的性質等を理由に上告を申し立てた。
あてはめ
原判決言渡当時、被告人が18歳未満であったことは明白である。したがって、当時の事実を基準とする限り、旧少年法を適用して不定期刑を言い渡した判断に誤りはない。言渡後に被告人が成人したという事後的な事実は、原判決の適法性を左右しない。また、不定期刑であっても自由が制限される限度(長期・短期)は宣告刑で確定しており、仮出獄はその執行過程における行政処分にすぎず、被告人の利益を損なうものではない。
結論
被告人が判決後に成人したとしても、原判決の不定期刑言渡しに法令違反はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における判断基準時(判決時説)を再確認する事案として重要である。特に少年法上の不定期刑要件(年齢)の判断において、事後的な加齢が判決の妥当性に影響しないことを示す。また、仮出獄の行政処分性を明示しており、行刑の仕組みと司法判断の境界を画定する際の基礎となる。
事件番号: 昭和24(れ)960 / 裁判年月日: 昭和24年9月29日 / 結論: 棄却
少年法第五二條は、裁判時における少年に對しその適用あるものであることその前條の規定と對比することにより明白である。
事件番号: 昭和25(れ)415 / 裁判年月日: 昭和25年6月1日 / 結論: 棄却
少年法第五二條にいわゆる少年とは事實審裁判所の判決時における少年を指すものである。