控訴審が控訴を理由がないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものである。
控訴審において控訴を棄却する場合と少年法適用の基準時期。
少年法2条1項,刑訴法396条
判旨
新刑事訴訟法下における控訴審の性質は事後審であるため、少年法適用の有無は第一審判決時を基準に判断すべきである。したがって、一審判決時に少年であった被告人が控訴審で成年に達した場合でも、不定期刑を科した一審判決を維持することは正当である。
問題の所在(論点)
第一審判決時に少年であった被告人が、控訴審判決時までに成年に達した場合、控訴審において定期刑に切り替えるべきか。少年法の適用基準時が問題となる。
規範
控訴審は事後審としての性質を有する。そのため、第一審判決を理由がないものとして棄却(刑訴法396条)するにあたっては、第一審判決時を基準として、被告人に少年法を適用すべきか否かを決すべきである。
重要事実
昭和14年1月3日生まれの被告人は、昭和33年11月22日の第一審判決当時は少年法2条1項の「少年」であり、不定期刑を言い渡された。しかし、被告人が原審(控訴審)に係属中に成年に達したため、原判決当時の昭和34年3月4日においては、既に「成人」となっていた。
事件番号: 昭和23(れ)1538 / 裁判年月日: 昭和24年6月29日 / 結論: 棄却
一 法令違反の有無は原判決言渡の時の事實を基準として決定すべきもので、その後に生じた事實までも斟酌して決定すべきものではない。このことは舊少年法第八條を適用すべきか否かについても同様である。本件においては、被告人は原判決言渡當時十八歳未満であつたことは明白であるから、原判決が舊少年法第八條を適用して不定期刑を言渡したの…
あてはめ
刑事訴訟法上の控訴審は事後審であり、一審判決の当否をその当時の状況に照らして判断するものである。本件被告人は一審判決時には少年であり、不定期刑を科した一審判決は当時の法令に照らし適法である。控訴審の審理中に被告人が成年に達した事実は、一審判決の量刑判断を事後的に違法とするものではない。
結論
被告人が控訴審で成年に達しても、一審判決時の少年法適用は維持される。不定期刑を維持し控訴を棄却した原判決に法令の適用誤りはない。
実務上の射程
刑事手続における「少年」の基準時に関するリーディングケース。事後審制をとる現行刑訴法下では、一審判決の適法性を審査する控訴審において、判決後の年齢変化は(自判する場合を除き)原則として影響しないことを示した。
事件番号: 昭和24(れ)960 / 裁判年月日: 昭和24年9月29日 / 結論: 棄却
少年法第五二條は、裁判時における少年に對しその適用あるものであることその前條の規定と對比することにより明白である。
事件番号: 昭和25(れ)415 / 裁判年月日: 昭和25年6月1日 / 結論: 棄却
少年法第五二條にいわゆる少年とは事實審裁判所の判決時における少年を指すものである。