被告人を執行猶豫にすべきか否かは原審の自由に決し得べきところであるから原審において決定刑の範圍内において被告人に實刑を科したからとて個人の尊嚴を害したものであり、憲法第一三條に違反した違法があるとはいい得ない。(昭和二二年(れ)第二〇一號同二三年三月二四日大法廷判決參照)
實刑の言渡と憲法第一三條
憲法13條
判旨
量刑は各被告人の個別的事情を総合して決定されるものであり、共犯者間で執行猶予の有無に差異があっても憲法13条・14条に違反しない。また、執行猶予の判断理由は罪となるべき事実ではないため、理由中で詳細な対比説明を欠いても違法とはいえない。
問題の所在(論点)
1. 共犯者間で量刑(特に執行猶予の有無)に差異を設けることは、憲法13条・14条に違反するか。 2. 判決において、特定の被告人を執行猶予としなかった理由を共犯者と比較して詳細に示さないことは、理由不備の違法となるか。
規範
裁判は被告人個人の犯罪の動機、情状、犯行後の情況、年齢、性格、経歴、境遇等諸般の事情を総合してなされる。したがって、犯状が類似する被告人間に量刑の差異が生じることは当然であり、法定刑の範囲内での実刑判決は裁量の範囲内として憲法13条・14条に違反しない。また、執行猶予の成否に関する情状は「罪となるべき事実」ではないため、その理由を詳細に説明しないことも適法である。
重要事実
同一判決において複数の被告人が裁かれた事案。被告人は、共犯者には執行猶予が付けられた一方で、自身に対しては「諸般の事情」等の不明瞭な表現をもって実刑が科されたことは不公平であり、憲法13条(個人の尊厳)および14条(法の下の平等)に違反すると主張した。また、共犯者のみに保釈が許可された点についても不服を申し立てた。
あてはめ
量刑は、個々の被告人の動機や性格、経歴といった個別的事情に基づき決定される。本件において、各被告人の犯行行為自体は類似していても、それ以外の情状要因により差等が生じるのはむしろ当然である。原審が法定刑の範囲内で実刑を選択したことは裁量の範囲内であり、不平等とはいえない。また、執行猶予の判断根拠となる情状は犯罪事実そのものではないため、なぜ他者と異なる結論に至ったかを明示的に説明しなかったとしても、手続上の違法は認められない。
結論
本件上告を棄却する。共犯者間での量刑の差異や、執行猶予の不付与に関する理由説明の簡略さは、憲法違反および刑事訴訟法上の違法を構成しない。
実務上の射程
量刑不当の主張を憲法違反(平等原則違反)に引き上げることは困難であることを示す判例である。また、刑訴法335条における「理由」の記載範囲について、執行猶予の判断根拠(情状)は「罪となるべき事実」に含まれないとする実務上の準則として機能する。
事件番号: 昭和27(あ)114 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人間に刑の軽重の差が生じても、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の情状及び犯後の情況等を斟酌した結果であれば、憲法14条の法の下の平等に違反しない。 第1 事案の概要:共同被告人として起訴された被告人らに対し、原審は実刑を言い渡した。これに対し被告人側は、他の被告人との比較において刑の量定に差が…
事件番号: 昭和25(あ)450 / 裁判年月日: 昭和25年12月26日 / 結論: 棄却
刑訴第四〇五条第二号又は第三号に基き、原判決が判例と相反する判断をしたことを理由として上告の申立をする場合には、上告趣意書にその判例を具体的に示さなければならない(刑事訴訟規則第二五三条)にもかかわらず、論旨は原判決が如何なる判例に違背したかを具体的に示していないから、これを適当な上告理由と認めるいとはできない