刑訴第四〇五条第二号又は第三号に基き、原判決が判例と相反する判断をしたことを理由として上告の申立をする場合には、上告趣意書にその判例を具体的に示さなければならない(刑事訴訟規則第二五三条)にもかかわらず、論旨は原判決が如何なる判例に違背したかを具体的に示していないから、これを適当な上告理由と認めるいとはできない
判例違反の主張を具体的に示さない上告の適否
刑訴405条2号,刑訴規則253条
判旨
裁判所が犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の情状及び事後の情況等を考量した結果、犯情が類似する他の犯人と科刑に差が生じても、憲法14条の平等原則には反しない。
問題の所在(論点)
刑事裁判における量刑の個別化に伴い、共犯者間や類似事案間で科刑に差異が生じることが、憲法14条の法の下の平等に反するか。
規範
刑罰の科刑は、特別予防及び一般予防の要請に基づき、各犯罪及び各犯人ごとに個別具体的に妥当な処置を講ずべきものである。したがって、事実審裁判所が犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の情状及び犯罪後の情況等を総合的に考量した結果、客観的な犯情の点で類似する他の犯人と比較して科刑に軽重の差別が生じたとしても、直ちに憲法14条の平等原則に違反するものではない。
重要事実
被告人は第一審において、共に犯行に及んだ相被告人と比較して重い刑を科された。これに対し、被告人は、同一の事件に関与し犯情が類似する者との間で刑の軽重に差を設けることは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するものであると主張して上告した。
事件番号: 昭和25(あ)272 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に対する刑の量定は、裁判所の自由裁量によって決すべきものであり、経済事犯の量刑不当が直ちに憲法25条違反の問題となることはない。 第1 事案の概要:経済事犯である本件において、被告人に対し言い渡された刑の量定が重すぎるとして、弁護人が上告。弁護側は、本件のような経済事犯における不当な量刑は、…
あてはめ
量刑は、個別の犯人の属性や更生の可能性(特別予防)、社会的な抑止効果(一般予防)を考慮して決定されるべき事柄である。本件において、裁判所が被告人の性格や境遇、犯罪後の状況などを適切に考慮して刑を決定した以上、たとえ共犯者である第一審相被告人より重い刑が科されたとしても、それは個別の事情に基づく合理的な区別であり、憲法が禁じる不当な差別には当たらない。
結論
本件被告人に相被告人より重い刑を科したことは憲法14条に違反せず、上告は棄却される。
実務上の射程
量刑の不当(刑訴法381条)を憲法違反の問題(憲法14条)にすり替えて主張することを牽制する射程を持つ。共犯者間の均衡を欠く量刑は、事実誤認や裁量権の逸脱として争うべきであり、本判決は量刑の個別化原則が憲法上の平等原則に優先して適用されることを確認した点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和24(れ)1890 / 裁判年月日: 昭和25年6月7日 / 結論: 棄却
一 昭和二二年五月商工省令第一八號は基本法たる臨時物資需給調整法に基き且つ配炭公團法の規定に從い配炭公團法に定める配炭公團の石炭等の一手買取業務に對應してその第一條に配炭公團への賣渡義務を規定しまた配炭公團の一手賣渡業務に對應してその第三條に配炭公團以外の者は石炭等を販賣してはならない旨を規定したものであつてその規定は…
事件番号: 昭和25(あ)723 / 裁判年月日: 昭和25年12月28日 / 結論: 棄却
一 衣料品配給規則第五条違反の罪は、衣料品を所定の割当公文書と引換えないで譲渡する罪であるから、その譲渡行為がある毎に犯罪が成立するものといわなければならない。 二 裁判所構成法による控訴院が、同戦時特例第五条により、上告審として為した判決は、刑訴法第四〇五条第三号にいわゆる判例に当らない。 三 判例違反の主張をするの…
事件番号: 昭和25(れ)1516 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(当時)の下では適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が量刑不当を理由に上告を申し立てたが、原判決の刑の量定が重すぎるという不服以外に憲法違反や判例違反などの具体的な適法事由は示されていなかった。 第2 問題の所在(論点):量刑不当…
事件番号: 昭和25(れ)1740 / 裁判年月日: 昭和26年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、下級審の判決に対して量刑が不当である(重すぎる)ことを主たる理由として最高裁判所に上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張が、刑訴法(当時の応急措置法)上の適法な…