判旨
被告人に対する刑の量定は、裁判所の自由裁量によって決すべきものであり、経済事犯の量刑不当が直ちに憲法25条違反の問題となることはない。
問題の所在(論点)
裁判所の裁量に属する量刑の不当が、直ちに憲法25条違反の問題として上告理由になり得るか。また、経済事犯において量刑の判断基準に特殊性があるか。
規範
量刑は、被告人の性格、犯罪の動機、犯罪の態様、その他諸般の事情を参酌し、裁判所の自由裁量によって決すべきものである。経済事犯においてもこの原則は変わらず、量刑の不当が直ちに憲法違反の問題を構成することはない。
重要事実
経済事犯である本件において、被告人に対し言い渡された刑の量定が重すぎるとして、弁護人が上告。弁護側は、本件のような経済事犯における不当な量刑は、単なる刑法上の問題にとどまらず、生存権を規定する憲法25条に違反するものであると主張した。
あてはめ
量刑は裁判所の広範な自由裁量に属する事項であり、経済事犯であるか否かによってその性質が区別されるものではない。記録に照らしても原審の量刑が著しく不当であるとは認められず、憲法違反を主張する論旨は、実質的には量刑不当を憲法違反に名を借りて主張するものにすぎない。
結論
量刑の不当は直ちに憲法違反とはならず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
量刑の裁量権に関する極めて初期の判例であり、量刑不当を憲法違反と構成する主張を退ける際の根拠として機能する。ただし、現代の刑事訴訟実務においては、量刑不当は刑訴法402条(控訴理由)の問題として処理されるのが一般的であり、憲法問題化することの困難さを示す一例といえる。
事件番号: 昭和25(あ)1313 / 裁判年月日: 昭和27年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しない量刑不当や単なる法令違反、原審で主張されていない事項の主張は、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について上告を申し立てた際、弁護人は憲法違反の語を用いつつ、実質的には刑訴法違反、量刑不当、および第一審の認定と異なる事実を前提…
事件番号: 昭和25(あ)2572 / 裁判年月日: 昭和26年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法405条において、量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が、量刑が不当である(重すぎる)ことを理由として最高裁判所に上告を申し立てた事案である。判決文からは具体的な犯罪事実の詳細は不明である。 第2 問題の所在(論点):単なる量刑不当の主張が、刑訴法4…
事件番号: 昭和25(れ)1507 / 裁判年月日: 昭和25年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律審である最高裁判所に対する上告において、事実認定の不当や量刑の不当を主張することは、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原裁判所の認定した事実および刑の量定を不服として上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認および量刑不当を理由とする上告が、法律審におけ…
事件番号: 昭和25(れ)1516 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(当時)の下では適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が量刑不当を理由に上告を申し立てたが、原判決の刑の量定が重すぎるという不服以外に憲法違反や判例違反などの具体的な適法事由は示されていなかった。 第2 問題の所在(論点):量刑不当…
事件番号: 昭和25(あ)2159 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、被告人の上告について刑訴法405条の上告理由に当たらないと判断し、かつ、職権による判決破棄事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書の内容に基づき、最高裁判所がその適否を検討した。 第2 …