刑法第六條にいわゆる法律は國家制定法に限るものでなく、法律であると政令であるそとの他の命令であるとを問わず、すべての刑罰を意味するものであることは明白である。
刑法第六條にいわゆる法律の範圍
刑法6條
判旨
刑法6条にいう「法律」とは、国会制定法に限らず、政令や命令等のすべての刑罰法規を指すと解される。また、憲法37条1項の「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗のおそれのない組織・構成を有する裁判所による裁判を意味し、共同被告人間での科刑の平等を直接保障するものではない。
問題の所在(論点)
1. 刑法6条にいう「法律」に、命令(規則等)が含まれるか。 2. 共同被告人との間での科刑の不均衡が、憲法37条1項の「公平な裁判所」の保障に反するか。
規範
1. 刑法6条(刑の変更)にいう「法律」とは、国会制定法に限定されず、政令やその他の命令を含めたすべての刑罰法規を包含する。 2. 憲法37条1項の「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗のおそれのない組織および構成を有する裁判所による裁判を意味する。
重要事実
被告人は旧麻薬取締規則違反の罪に問われた。被告人側は、(1)旧麻薬取締規則は法律ではないため刑法6条の適用がないこと、(2)共同被告人との間で科刑の均衡を欠いており、憲法37条1項の保障する「公平な裁判所の裁判」に反すること、等を理由に上告した。
あてはめ
1. 刑法6条の趣旨は、刑罰法規の改廃に伴う有利な法の適用を定めたものであり、その対象となる「法律」には命令等のあらゆる刑罰法規が含まれる。したがって、旧麻薬取締規則も同条にいう法律に該当すると解される。 2. 共同被告人間の科刑の比較上の公平性は、事実審裁判所が具体的犯情を総合考察して決定すべき裁量事項である。裁判所の組織的・構成的な中立性を意味する憲法37条1項の問題とは別異の事案であり、量刑の不当を同条違反と解することはできない。
結論
1. 刑法6条の法律には命令も含まれる。 2. 科刑の不均衡は直ちに憲法37条1項違反とはならず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
法令変更時の刑の適用(刑法6条)において、「法律」を広義に解する確立した解釈を示す。また、憲法37条1項の「公平」の意味を裁判所の「組織・構成」に結びつけ、量刑上の不平等(共同被告人との比較)とは峻別する論拠として重要である。
事件番号: 昭和24(れ)2551 / 裁判年月日: 昭和25年3月24日 / 結論: 棄却
麻藥取締法附則第七四條は同法第六五條に掲げる法令廢止前の行爲に對する罰則の適用については、刑の廢止變更があつても、刑法第六條に舊刑訴法第三六三條第二號の適用を排除して常に行爲時法の規定によるべきことを規定した趣旨である。
事件番号: 昭和26(あ)4843 / 裁判年月日: 昭和28年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、偏頗の恐れがなく、中立公正な立場において裁判を行う裁判所を指すものであり、量刑が不当であるとの主張は、同項の趣旨に反するとの憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、第一審判決の量刑を不当として控訴したが、原審(控訴審)においても量刑…