しかし刑の執行猶豫を言渡すか否かは實驗則に反しない限り原審の自由裁量の範圍内に屬する本件において原審が其言渡をしなかつたことが實驗則に反するとはいえないから論旨は上告の理由とならない。
刑の執行猶豫の言渡をしない判決と實驗則
刑法25條,舊刑訴法358條2項
判旨
刑の執行猶予を言い渡すか否かは、裁判所の広範な自由裁量に属する事項であり、その判断が経験則に反しない限り、適法なものとして是認される。
問題の所在(論点)
刑法25条等に基づく刑の執行猶予を言い渡すか否かの判断について、裁判所にどの程度の裁量が認められるか、またその裁量権行使の限界が問題となる。
規範
刑の執行猶予の言渡しは、裁判所の広範な自由裁量に属する。その判断が適法とされるためには、当該判断が経験則(実験則)に反しないことを要する。
重要事実
被告人に対し刑の執行猶予を言い渡さなかった原審の判断について、弁護人が上告を申し立て、執行猶予を付さなかったことが不当であると主張した事案である(具体的な犯罪事実等の詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
原審が被告人に対して執行猶予を言い渡さなかった判断について検討するに、執行猶予の許否は裁判所の裁量権に属する事柄である。本件において、原審が執行猶予を付さなかったこと自体が、直ちに経験則に反すると評価すべき特段の事情は認められない。
結論
原審が執行猶予を言い渡さなかったことは裁量権の範囲内であり、経験則に反しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
量刑判断全般、特に執行猶予の付与に関する裁判所の広範な裁量を裏付ける基本判例として活用できる。答案作成上は、量刑の不当が上告理由(刑訴法402条の2、旧刑訴法446条関連)となるかの文脈で、裁量権逸脱の基準として『経験則違反』の有無を検討する際に引用すべきである。
事件番号: 昭和25(れ)1264 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が刑の執行を猶予しないことは、裁判所の広範な裁量に委ねられており、それが直ちに法令違反となることはない。 第1 事案の概要:被告人が刑の執行猶予を付されなかったことに対し、弁護人が原判決の判断には法則に反する点があると主張して上告を提起した事案。判決文からは具体的な犯行態様等の事実は不明であ…
事件番号: 昭和24新(れ)538 / 裁判年月日: 昭和25年9月7日 / 結論: 棄却
第一審判決の量刑の不當を理由として右判決を破毀し、刑の量定をやりなおした原審においては、第一審の認定した犯罪事實並びにその認定手續については亳も爭がなく、かつ原判決は第一審判決の確定した事實を基礎としたものであるから、原判決は、第一審判決の認定したと同一の事實、並びに證據を引用したものと解することができる。