判旨
裁判所が証拠の価値をどのように判断するかは、合理性の範囲内において裁判所の自由な裁量に委ねられる。また、被告人側に証人尋問の機会が与えられていた場合、検察官面前調書を証拠として採用し、事実認定の基礎とすることは適法である。
問題の所在(論点)
裁判所による証拠の価値判断(自由心証主義)に裁量権の濫用が認められるか。また、被告人側に尋問の機会があった場合に、検察官面前調書を証拠として採用することは適法か。
規範
証拠の価値判断は裁判所の自由な判断(自由心証主義)に基づき、その判断が合理性の範囲内にある限り、自由裁量権の濫用とはならない。また、供述者に対する尋問権の行使が妨げられていない状況下では、書面(検察官面前調書等)を証拠として採用し、犯罪事実を認定することは許容される。
重要事実
被告人が強盗罪に問われた事案。原審は、被告人の公判廷における供述や、共犯者ないし関係者Aに対する検事の聴取書(検面調書)を証拠として採用し、強盗の共謀事実を認定した。これに対し弁護側は、当該証拠に基づき事実を認定したことは自由裁量権の濫用であり、また証拠採用自体が違法であると主張して上告した。
あてはめ
まず、被告人の公判廷での供述を事実認定の基礎とした原審の判断は、特段の不合理性は認められず、裁判所の自由な判断の範囲内である。次に、関係者Aの検面調書については、被告人や弁護人が公判廷で供述者の尋問を請求したにもかかわらず拒絶されたという事実はない。したがって、当該書面を証拠として採用することは、当時の刑事訴訟法応急措置法12条に照らして違法ではなく、その価値判断も裁量の範囲内である。
結論
原判決の証拠採用および事実認定に違法はなく、自由裁量権の濫用も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
自由心証主義(刑訴法318条)の限界と、伝聞証拠の証拠能力に関する初期の判断を示す。現代の実務では、321条1項2号等の伝聞例外の要件充足が厳格に審査されるが、本判決は「尋問の機会が保障されていたか」という反対尋問権(憲法37条2項)の観点から証拠採用の妥当性を肯定する論理として参照し得る。
事件番号: 昭和25(れ)1377 / 裁判年月日: 昭和25年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べの必要性に関する判断は、事実審裁判所が各事件の訴訟状態や証拠関係等の諸般の事情を考慮して合理的に決定すべき裁量事項である。裁判所が必要でないと裁定して証拠申請を却下したとしても、それが審理の内容経過に照らして不合理でない限り、適法な証拠調べの限度の裁定として認められる。 第1 事案の概要:…
事件番号: 昭和24(れ)1288 / 裁判年月日: 昭和24年9月24日 / 結論: 棄却
盜難被害届中被害物件の數量の記載に、判示被害物件の數量と所論のような僅少の差異がありとしても、右盜難届の記載が判示犯罪事實に照應するものと認定する妨げとなるものではない。