判旨
証拠の価値判断は原審の裁量に属する事柄であり、これを非難して事実誤認を主張することは、上告適法の理由とはならない。
問題の所在(論点)
証拠の価値判断(証明力の評価)に対する不服申し立てや、量刑不当の主張が、最高裁判所に対する適法な上告理由となり得るか。
規範
証拠の価値判断、すなわち証拠の証明力の評価は、事実認定を担う原審の広範な裁量に委ねられる。したがって、原審の証拠評価に基づく事実認定の当否を争うことは、法廷の定める上告理由(事実誤認等)に該当しない限り、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人が原審の判決に対し上告を提起した事案である。上告人は、原審が行った証拠の価値判断を不当であると非難し、それに基づく事実認定に誤りがあること(事実誤認)、および量刑が不当であることを主張して、原判決の破棄を求めた。
あてはめ
上告人の主張は、本質的に原審の裁量に属する証拠の価値判断を非難し、ひいては事実の誤認を主張するものにすぎない。また、量刑不当の主張についても、独自の裁量判断を批判するものに留まっている。これらは、旧刑事訴訟法下(および現行法下においても原則として)法律審である上告審が審理すべき適法な上告理由を構成するものではない。
結論
本件上告には適法な上告理由がないため、棄却される。
実務上の射程
事実認定の基礎となる証拠の評価は事実審の専権であることを確認した判例である。司法試験においては、上告審の構造(法律審)を論じる際や、証拠裁判主義における自由心証主義(刑訴法318条)の限界を検討する際の基礎知識として機能する。
事件番号: 昭和24(れ)2242 / 裁判年月日: 昭和26年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が証拠の価値をどのように判断するかは、合理性の範囲内において裁判所の自由な裁量に委ねられる。また、被告人側に証人尋問の機会が与えられていた場合、検察官面前調書を証拠として採用し、事実認定の基礎とすることは適法である。 第1 事案の概要:被告人が強盗罪に問われた事案。原審は、被告人の公判廷にお…