判旨
原審における証拠の取捨判断および事実認定に違法がない限り、これを争う上告趣旨は憲法違反を主張するものであっても実質的には単なる事実誤認の主張にすぎず、上告理由とならない。
問題の所在(論点)
原審による事実認定の不当を憲法違反として主張することが、適法な上告理由(旧刑事訴訟法446条等)となるか。
規範
上告理由として憲法違反を主張する場合であっても、その実質が原審の証拠取捨や事実認定の当否を非難するにとどまるものは、適法な上告理由には当たらない。原審が相当な審理を経て適法に事実を認定している限り、これに反する前提に立つ違憲論は前提を欠くものとして排斥される。
重要事実
被告人および弁護人が、原審の証拠取捨および事実認定に不服があるとして上告を申し立てた事案。上告人は、捜査段階における拷問の存在や、アリバイ(不在証明)等の事実を主張し、これらを認めずに有罪とした原判決には憲法違反等の違法があると主張した。
あてはめ
本件において、記録によれば原審は拷問の主張や不在証明の点についても相当な審理を尽くしていることが認められる。上告人の主張は「憲法違反」という語を用いてはいるものの、その実質は原審が行った適法な証拠の取捨判断および事実認定を非難するに帰する。したがって、原審の認定に違法はなく、これを否定する前提に立つ上告人の主張は失当である。
結論
本件各上告は、実質的に事実認定の非難にすぎず適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
憲法違反や判例違反を形式的に掲げても、内容が事実誤認の主張にとどまる場合は上告理由にならないという実務上の原則を示す。司法試験においては、上告受理申立てや上告理由の適格性を論じる際の補足的な論理として参照し得る。
事件番号: 昭和26(れ)328 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑訴応急措置法13条2項に基づき、上告適法の理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人側が事実誤認および量刑不当を理由として上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認または量刑不当の主張が、上告適法の理由として認められるか。 第3 規範:上告審にお…