被告人に對する勾留が、手續上不當であつても、これを理由として上告をすることはできない。
勾留手續の不當と上告理由
舊刑訴法91條,舊刑訴法114條
判旨
第一審判決に関与した裁判官が、起訴前に勾留訊問や証拠物の押収手続を行っていたとしても、それは第一審判決の適否に関する事項にすぎず、直ちに第二審判決を違法とする理由にはならない。
問題の所在(論点)
第一審の裁判官が起訴前の強制処分(勾留訊問や押収)に関与していた場合、そのことを理由として、当該裁判官が関与した第一審判決を経てなされた「第二審判決」に違法があると断じることができるか(現行刑訴法20条の除斥事由に関連する判断の及ぶ範囲)。
規範
刑事訴訟法上の除斥事由(現行刑訴法20条各号)に準ずる事由、特に「裁判官が事件について前審の裁判に関与した」等の不服申立対象となった裁判手続への関与に関する違法主張は、当該手続の効力を左右し得るにとどまり、別個の審級である控訴審判決の固有の違法事由にはならない。
重要事実
被告人が窃盗等の罪で起訴された事件において、第一審の裁判長判事が起訴前に被告人の勾留訊問を行い、また別の関与判事が被告人宅で証拠物の押収手続を実施していた。被告人側は、これらの手続に関与した裁判官が第一審判決に関与したことは違法であるとして、控訴審判決(第二審)の破棄を求めて上告した。
事件番号: 平成16(あ)2716 / 裁判年月日: 平成17年8月30日 / 結論: 棄却
裁判官が公訴棄却の判決をし,又はその判決に至る手続に関与したことは,その手続において再起訴後の第1審で採用された証拠又はそれと実質的に同一の証拠が取り調べられていても,再起訴後の審理において,刑訴法20条7号本文所定の除斥原因に当たらない。
あてはめ
記録によれば、第一審判決に関与した裁判長が起訴前に勾留訊問を行い、別の裁判官が証拠物の押収手続を行っていた事実は認められる。しかし、これらの事情はあくまで「第一審の判決」に関する事項であり、「第二審の判決」に関する事項ではない。たとえ第一審判決の手続に所論のような違法があると仮定しても、そのことから直ちに、別個の審級である第二審判決を違法とすべき筋合(論理的帰結)は認められない。
結論
第一審での裁判官の関与に瑕疵があるとしても、それは第二審判決の違法事由とはならないため、上告は理由がない。
実務上の射程
裁判官の除斥(刑訴法20条)等の構成に関する主張をする際、どの審級の判決を攻撃しているかを峻別する必要がある。前審に関与した裁判官が後の審級に関与することは除斥事由(同条7号)となり得るが、本件のように「一審の裁判官の構成の是非」をもって「二審判決」自体の違法を導くことはできないとする実務上の境界線を示すものである。
事件番号: 昭和24(れ)1072 / 裁判年月日: 昭和24年7月12日 / 結論: 棄却
檢事が現行犯人又は準現行犯人として逮捕された被疑者を受け取つたときは、檢事は舊刑訴法第一二九條に從い、兎も角訊問することが要求されているのであつて、訊問の結果勾留の必要がないと認めたときは直ちに釋放すべくその必要ありと認めたときは、現行犯手續の適否を考慮して刑訴應急措置法第八條第三號其の他に從つて適當な措置を講ずべきも…