一 その作成にあたり、反對訊問の機會を與えなかつた檢事聴取書の如き、書類も、刑訴應急措置法第一二條の制限の下に、これを證據とすることができるとしても、憲法第三七條第二項の趣旨に反するものではなく、刑訴應急措置法第一二條が違憲でないことは當裁判所大法廷の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第八三三號、同二四年五月一八日大法廷判決) 二 所論檢事の聴取書の供述者中Aは原審相被告人であるから刑訴應急措置法第一二條の制限を受けないことは當裁判所の判例とする處であり。(昭和二二年(れ)第二〇八號、同二三年二月九日第一小法廷判決)
一 刑訴應急措置法第一二條の合憲性 二 相被告人の供述と刑訴應急措置法第一二條
刑訴應急措置法12條,刑訴應急措置法第12條,憲法37條2項
判旨
共同被告人の公判廷における供述は、他の共同被告人の罪体に対する補強証拠として用いることができる。
問題の所在(論点)
共同被告人の供述は、被告人自身の自白に対する補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)となり得るか。
規範
被告人の自白のみで有罪とされることを禁じた憲法38条3項および刑事訴訟法上の補強証拠の要否について、共同被告人の供述は、自己の自白とは独立した証拠価値を有する証拠資料として、補強証拠に供することができる。
重要事実
被告人Bは、共同被告人AおよびCと共に犯罪事実について起訴された。原審は、被告人Bの自白に加え、共同被告人Aの公判外の供述および公判廷における供述、ならびに共同被告人Cの公判廷における各供述を総合して、被告人Bの犯罪事実を認定した。これに対し弁護人は、共同被告人の供述を補強証拠とすることはできないと主張して上告した。
あてはめ
憲法が自白のみによる処罰を禁じた趣旨は、自白の偏重による誤判の防止にある。共同被告人の供述は、被告人自身の自白とは別個の証拠源から得られる証拠である。本件において、原判決は被告人Bの自白のほかに、共犯者であるAおよびCの公判廷等における供述を総合して事実を認定しており、これらは被告人自身の自白を補強する独立した証拠となり得る。したがって、これらを総合して有罪を認定した事実に憲法違反や証拠法則上の違法は認められない。
結論
共同被告人の供述は、被告人の自白に対する補強証拠として差し支えない。
実務上の射程
自白の補強証拠の適格性に関するリーディングケースである。現行法下においても、共犯者の供述が「被告人の自白」に含まれないことを根拠に、補強証拠となり得るという実務上の取り扱いを支える論理として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)4753 / 裁判年月日: 昭和27年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白に共犯者の供述調書等の補強証拠がある場合には、憲法38条3項の規定に反せず、有罪判決の基礎とすることができる。 第1 事案の概要:被告人Aの自白が存在する事案において、共犯者であるBの供述調書等が証拠として提出された。弁護人は、自白のみによる有罪判決を禁じた憲法に違反すると主張して上告…
事件番号: 昭和27(れ)9 / 裁判年月日: 昭和27年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の供述を他の共犯者の自白の補強証拠とすることは、憲法38条3項の規定に違反しない。 第1 事案の概要:被告人および相被告人らが共同して犯罪に及んだとされる事案において、原審は被告人の自白に加えて、相被告人の供述などの各証拠を総合して犯罪事実を認定した。これに対し被告人側は、相被告人の供述を補…
事件番号: 昭和30(あ)556 / 裁判年月日: 昭和30年6月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白を補強すべき証拠が存在する場合には、憲法38条3項及び刑訴法319条2項にいう自白の補強法則に反せず、有罪判決を維持することができる。 第1 事案の概要:被告人Aの自白に基づき有罪判決が下された事案において、弁護人は第一審判決が挙示した証拠の中に自白を補強すべき証拠が存在しないと主張し…