強盜強姦罪は強盜たる身分を有するものが、強姦をする犯罪であり、個人の専屬的法益(婦女の性的自由)を侵害する罪である。從つてその犯罪の個數は各被害者の數によつて算定さるべきものである。だから被告人等は共謀して三個の強盜強姦罪を犯したものであつて、併合罪として取扱うを當然とする。
強盜強姦罪の意義とその犯罪の個數の算定
刑法45條,刑法54條,刑法241條
判旨
強盗強姦罪(刑法241条前段)は、個人の専属的法益である婦女の性的自由を侵害する犯罪である。そのため、強盗の機会に複数の被害者に対して強姦を行った場合、罪数は被害者の数によって決定され、併合罪(刑法45条前段)となる。
問題の所在(論点)
強盗の機会に複数の被害者に対して強姦行為が行われた場合、強盗強姦罪の罪数はどのように算定されるか。一個の包括一罪となるのか、あるいは被害者の数に応じた併合罪となるのかが問題となる。
規範
強盗強姦罪(旧刑法241条)は、強盗の身分を有する者が強姦を行う犯罪であり、その保護法益は個人の専属的法益である婦女の性的自由である。したがって、その犯罪の個数は被害者の数によって算定されるべきである。
重要事実
被告人は、共犯者2名(A及びC)と共謀して強盗を行い、さらに意思を通じて被害者3名に対し強姦に及んだ。原判決は、これらの事実に基づき、被告人らにおいて3個の強盗強姦罪が成立すると認定した。これに対し、被告人側は罪数の算定等について上告して争った。
事件番号: 昭和24(れ)1324 / 裁判年月日: 昭和24年11月10日 / 結論: 棄却
一 數名の強盜犯人が、事前に明示的に強盜することを謀議していた場合ばかりでなく、豫め暗默のうちに強盜をすることを互ひに了解していた場合であつても、又できることなら窃盜だけに止め、止むを得ないときは強盜をする旨打合せていた場合であつてもなお共謀の上強盜をなしたものといい得るのである。 二 舊刑訴法の下では檢察官が公訴を提…
あてはめ
本件において、被告人らは共謀の上、被害者3名に対してそれぞれ強姦行為を行っている。強盗強姦罪が保護する「婦女の性的自由」は、各個人に帰属する専属的法益である。法益の専属性に鑑みれば、侵害された法益の主体ごとに犯罪が成立すると解するのが相当である。したがって、被害者が3名存在する本件においては、3個の強盗強姦罪が成立することとなる。
結論
被告人らには3個の強盗強姦罪が成立し、これらは併合罪として処断される。原審の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
個人的法益に対する罪の罪数決定において、被害者の数(法益の主体)を基準とする原則を確認した判例である。答案上は、強盗強姦罪(現行法の強盗・不同意性交等罪)の罪数を論じる際、保護法益の専属性を根拠として、被害者ごとに罪が成立することを導く論拠として活用する。
事件番号: 昭和24(れ)2361 / 裁判年月日: 昭和24年11月22日 / 結論: 棄却
現行刑法においても、住居侵入罪と強盜罪とはその被害法益および犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行爲は強盜罪の要素に屬せず別個獨立の行爲であり、しかも通常右兩罪の間には手段結果の關係のあることが認められるから、原判決が右兩罪を刑法第五四條第一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正當であつて、論旨は理由がない。(昭和二…