死刑が憲法第一三條、同第三六條の趣旨精神に反しないことは、當裁判所屡次の判例とするところである。亦所論憲法第九條の所謂戰爭抛棄の宣言の規定は、死刑の存廢に何等關連のある規定でないことは、多辯を要せずして明らかである。そして、却つて所論引用の憲法第三一條は、死刑制度の憲法上適法であることを窺知し得るに十分の規定である。所論は違憲に名を藉り死刑廢止に関する獨自の論議と云うの外ない。
死刑と憲法第九條、同第一三、條同第三一條、同第三六條
憲法9條,憲法13條,憲法31條,憲法36條,刑法9條,刑法11條
判旨
審理の更新は裁判官の記憶を喚起する趣旨であるため、実質的な審理が行われず期日指定のみで閉廷した場合には更新手続を要しない。また、死刑制度は憲法13条、31条、36条に反せず、憲法上適法である。
問題の所在(論点)
1. 公判期日の間に15日以上の間隔が生じた場合、実質的な審理を行わず期日指定のみで閉廷した期日においても、審理の更新手続を行う必要があるか。 2. 死刑制度は、憲法13条、31条、36条、および9条に違反するか。
規範
1. 審理の更新(刑訴法315条参照)は、前回までの公判に現れた事実・証拠が裁判官の記憶から遠ざかるおそれがあるため、更新手続を経ない限りそれらを判決の基礎とすることを禁ずる趣旨である。したがって、実質的な審理が行われない期日については更新手続を要しない。 2. 憲法31条は、法律の定める手続によれば生命を奪われることを許容しており、死刑制度は憲法13条(生命の尊重)、36条(残虐な刑罰の禁止)の趣旨に反しない。
重要事実
被告人の控訴審において、第1回公判期日と第2回公判期日の間に15日以上の経過があった。第2回公判期日では、証人が召喚手続の不備により出頭しなかったため、裁判所は次回期日を指定しただけで実質的な審理に入らず閉廷した。同期日の調書には審理更新の記載がなかったが、その次の第3回公判期日では更新手続が行われていた。被告人側は、第2回期日における更新手続の欠如および死刑制度の違憲性を主張して上告した。
事件番号: 昭和24(れ)1087 / 裁判年月日: 昭和24年7月16日 / 結論: 破棄差戻
原審裁判所は昭和二三年一二月一八日に第二回公判を開廷し、越えて同二四年二月一五日に至り、第三回公判を開廷した。その間一五日以上の期間を經過しているにもかかわらず原審裁判長は第三回公判期日に手續の更新をした跡の見るべきものがない。してみれば原審は手續の更新をしなかつたものと云わなくてはならないのであつて論旨は理由があり原…
あてはめ
1. 第2回公判期日は、予定されていた証人の不出頭により次回期日の指定のみが行われており、証拠調べや事実認定に関する実質的な審理には一切入っていない。審理の更新は「裁判官の記憶の維持」を目的とする制度であるから、審理が進行していない本件第2回期日において更新手続を欠いたとしても、手続上の違法はない。なお、実質的な審理を再開する第3回期日では適法に更新手続が執られている。 2. 憲法31条は適正手続による刑罰を予定しており、死刑もその範疇に含まれる。憲法9条は戦争放棄を定めたものであり死刑の存廃とは無関係である。したがって、死刑制度を維持することは憲法に違反しない。
結論
1. 実質的な審理を行わない期日において審理更新の手続は不要である。 2. 死刑制度は憲法各条項に照らして合憲である。
実務上の射程
審理の更新が必要となる場面(裁判官の交代や中断後)における「実質的審理の有無」による限定解釈を示す。また、死刑制度の合憲性に関する初期の重要判例として、憲法31条を根拠に死刑を肯定する論法は答案作成上の基礎となる。
事件番号: 昭和23(れ)1579 / 裁判年月日: 昭和24年3月12日 / 結論: 棄却
一 旧刑訴法第三五三条は、弁論終結後には適用されない。 二 憲法第三七条第一項に違反し、迅速を欠いた裁判であるということは、原判決破棄の理由にならない。
事件番号: 昭和24(れ)2293 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が公判手続更新の必要がないと認めた場合には、公判期日の間隔が15日以上開いたとしても、刑事訴訟規則施行規則に基づき公判手続を更新しないことは適法である。 第1 事案の概要:被告人A、Bに係る原審(控訴審)において、昭和24年3月12日の公判期日および同年4月27日の公判期日が、それぞれ前回の…