記録に徴する公判調書中紙質の異る用紙が一部分使用されていることは所論の通りである。しかし何れも裁判所の用紙として同一の形式を具備しており且つ筆跡は同じペン書きであつて所論のように一方がペン書き他方が複寫書きとなつていない。そして所論同調書には各葉契印を施してあり、其の契印は同一の契印であり、且つ契印と認めるに十分であつて、疑をはさむ餘地はない。なお右契印は同調書作成者たる裁判所書記の名下に押されている印と同一であると認められるから、同調書は適式に作成された眞正のものといわなければならないから論旨は理由がない。
公判調書の作成が適式であることの一事例
舊刑訴法60條,舊刑訴法64條
判旨
公判手続の更新は、構成裁判官に変更がない場合には不要であり、公判調書において異なる紙質の用紙が使用されていても、形式的要件を具備し真正な作成が認められる限り有効である。
問題の所在(論点)
裁判官に変更がない場合に公判手続の更新が必要か、および一部の紙質が異なる公判調書が真正なものとして認められるか。
規範
刑事訴訟法上、公判手続を更新すべき義務があるのは、裁判官が交代した場合(刑事訴訟法315条参照)や一定の期間が経過した場合に限られる。また、公判調書の真正性は、用紙の形式的具備、筆跡の一貫性、および作成者による適正な契印の有無により判断される。
重要事実
原審の第2回公判と第3回公判の間に手続の更新がなされなかったが、列席した裁判官3名は同一であった。また、公判調書の中に一部紙質の異なる用紙が混在しており、弁護人は調書の有効性と更新手続の欠如を理由に上告した。
あてはめ
更新手続について、第3回公判の裁判官は第2回公判と同一であるため、当時の刑事訴訟規則等に照らしても更新は義務付けられない。調書の真正性については、用紙が裁判所の同一形式を具備し、筆跡も一貫したペン書きであり、全葉にわたり裁判所書記官の印と同一の適正な契印が施されていることから、真正に作成されたものと認められる。
結論
手続の更新を欠いた点に違法はなく、公判調書の作成も適式である。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
裁判官の交代がない限り更新手続は不要であるという原則を確認した判例である。公判調書の形式的不備を争う場面においても、作成権限者による契印等の形式的真正が確認できれば、実務上はその有効性が広く認められる傾向にある。
事件番号: 昭和26(れ)2374 / 裁判年月日: 昭和27年8月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判長および裁判所書記官(補)の署名押印がある公判調書については、手続上の瑕疵は認められず、かつ判決において証拠として採用されていない場合には、判決に影響を及ぼすものではない。 第1 事案の概要:上告人は、特定の公判調書について署名捺印の不備等を理由に憲法違反を主張して上告した。しかし、当該記録上…
事件番号: 昭和24(れ)2293 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が公判手続更新の必要がないと認めた場合には、公判期日の間隔が15日以上開いたとしても、刑事訴訟規則施行規則に基づき公判手続を更新しないことは適法である。 第1 事案の概要:被告人A、Bに係る原審(控訴審)において、昭和24年3月12日の公判期日および同年4月27日の公判期日が、それぞれ前回の…