一 旧刑訴法第三五三条は、弁論終結後には適用されない。 二 憲法第三七条第一項に違反し、迅速を欠いた裁判であるということは、原判決破棄の理由にならない。
一 弁論終結後と旧刑訴法第三五三条 二 迅速でない裁判と破棄の事由
旧刑訴法353条,旧刑訴法411条,憲法37条
判旨
弁論終結の日から判決言渡日までの間に15日以上の間隔があっても、審理そのものが続行されるわけではないため、公判手続の更新を要しない。また、審理の迅速を欠くことが直ちに判決の破棄事由となるものではない。
問題の所在(論点)
1. 弁論終結から判決言渡までの間に15日以上の間隔がある場合、公判手続の更新(現行刑訴法315条参照)が必要か。 2. 審理が長期間遷延し、裁判の迅速を欠くことが判決の破棄事由となるか。
規範
1. 公判手続の更新規定(旧刑訴法353条)は、審理を続行する際に期間が空くことで裁判官の記憶が薄弱になり心証形成に困難を来すことを防ぐ趣旨である。したがって、既に弁論が終結し心証が形成された後の判決言渡までの期間には適用されない。 2. 裁判の迅速が欠かれた場合であっても、その事実のみを以て直ちに原判決を破毀すべき事由とすることはできない。
重要事実
被告人は昭和22年5月9日に起訴され、同月31日に第一審判決を受けた。被告人が控訴し、原審(第二審)は同年7月10日に事件を受理したが、公判期日が指定されたのは約11ヶ月後の昭和23年7月14日であった。即日弁論を終結し、同月30日に判決を言い渡したが、弁論終結から判決言渡までに15日以上の期間が経過していた。被告人側は、手続更新の欠如と迅速な裁判の原則(憲法37条1項)への抵触を理由に上告した。
あてはめ
1. 公判手続の更新は審理継続中の記憶保持を目的とする。本件では既に弁論が終結しており、審理の結果形成された心証に基づき評議判決をすれば足りるため、更新を必要とする「審理」は存在せず、同条の適用はない。 2. 本件では受理から公判まで11ヶ月経過しており、事案の性質や他の拘束事件の優先処理の必要性を考慮しても迅速を欠くといえる。しかし、迅速性を欠くことは、既定の判例に照らし、判決そのものを破棄する理由にはならない。
結論
弁論終結から判決言渡しまでに15日以上の間隔があっても手続更新は不要であり、また、審理が迅速に行われなかったとしても、それだけで判決を破棄することはできない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法315条(更新)の適用範囲を限定的に解釈する際や、憲法37条1項の迅速な裁判の保障の具体化(特に訴訟打切り等の救済措置の要否)を論じる際の消極的な先例として参照される。
事件番号: 昭和24(れ)11 / 裁判年月日: 昭和24年6月4日 / 結論: 棄却
死刑が憲法第一三條、同第三六條の趣旨精神に反しないことは、當裁判所屡次の判例とするところである。亦所論憲法第九條の所謂戰爭抛棄の宣言の規定は、死刑の存廢に何等關連のある規定でないことは、多辯を要せずして明らかである。そして、却つて所論引用の憲法第三一條は、死刑制度の憲法上適法であることを窺知し得るに十分の規定である。所…
事件番号: 昭和24(れ)2293 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が公判手続更新の必要がないと認めた場合には、公判期日の間隔が15日以上開いたとしても、刑事訴訟規則施行規則に基づき公判手続を更新しないことは適法である。 第1 事案の概要:被告人A、Bに係る原審(控訴審)において、昭和24年3月12日の公判期日および同年4月27日の公判期日が、それぞれ前回の…