刑法第四五條は併合罪の意義を定めた規定にすぎないから同條前段の併合罪であることを明示した上適用すべき罰條を適用して處斷した以上は、同條の適用を些か前後して記載したきらいがあつても法律の適用を誤つた違法があるということはできない、本件においては同條を所論の順序に適用しても、原判決掲記のとおりに適用しても、刑法第四六條第一項を適用して處斷すべきことには差異はないのである。
刑法第四五條の適用を前後して記載した判決の適否
刑法45條,刑法46條1項
判旨
憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰を指し、死刑そのものはこれに当たらない。また、法律が許容する範囲内で量定された刑罰が、被告人にとって過重であっても、直ちに同条に違反するものではない。
問題の所在(論点)
死刑制度そのものの合憲性、および具体的な事案(強盗殺人・死体遺棄)において死刑を量定することが憲法36条の禁止する「残虐な刑罰」に該当するか。
規範
1. 憲法36条にいう「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰を意味する。 2. 刑法が規定する死刑制度そのものは、憲法36条の「残虐な刑罰」には当たらない。 3. 事実審が法律の範囲内で刑を量定した場合、被告人の側から見て過重な刑であったとしても、その事実のみをもって直ちに「残虐な刑罰」と解することはできない。
重要事実
被告人は、単独で強盗殺人および死体遺棄の各罪を敢行した。一審および二審(原審)は、これらの事実を認定した上で、被告人に対し法定刑の範囲内で死刑を言い渡した。これに対し被告人側は、本件のような具体的事件において死刑を量定することは、憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」に該当し違憲であると主張して上告した。
事件番号: 昭和44(あ)1212 / 裁判年月日: 昭和45年3月26日 / 結論: 棄却
検察官が控訴を申し立て第一審判決の刑より重い刑の判決を求めることが憲法三九条に違反しないことは、昭和二四年新(れ)第二二号同二五年九月二七日大法廷判決(刑集四巻九号一八〇五頁)の判示するとおりであり、検察官が死刑の判決を求める場合もその例外とは解されない。
あてはめ
1. 憲法36条の趣旨に照らせば、死刑制度自体が否定されるものではない(判例)。 2. 本件は強盗殺人および死体遺棄という極めて重大な犯罪事案である。原審は、これに対し法律が許容する範囲内の法定刑(死刑)を選択し、量刑を行っている。 3. このような適法な量刑判断の結果は、人道上不必要な苦痛を強いる「残虐な刑罰」とは認められず、被告人が主観的に過重であると感じたとしても、その評価は左右されない。
結論
本件のような強盗殺人、死体遺棄の事案に対し死刑を量定することは、憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらない。したがって、原判決に違憲の過誤はない。
実務上の射程
死刑の合憲性に関するリーディングケース(最大判昭23.3.12等)を維持・補強する射程を持つ。答案上は、憲法36条の「残虐な刑罰」の定義を示す際に本件の規範を引用し、制度としての合憲性と、具体的な量刑の妥当性(裁量権の範囲内か否か)を分けて論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)3185 / 裁判年月日: 昭和26年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑そのものは憲法36条に規定される「残虐な刑罰」には該当せず、死刑を定めた刑法の規定は憲法に違反しない。また、具体的事件における裁判官の量刑が過重であるとしても、直ちに同条にいう「残虐な刑罰」となるものではない。 第1 事案の概要:被告人は死刑の判決を受けたが、弁護人は死刑制度そのものが憲法36…