検察官が控訴を申し立て第一審判決の刑より重い刑の判決を求めることが憲法三九条に違反しないことは、昭和二四年新(れ)第二二号同二五年九月二七日大法廷判決(刑集四巻九号一八〇五頁)の判示するとおりであり、検察官が死刑の判決を求める場合もその例外とは解されない。
死刑を求める検察官控訴と憲法三九条
憲法39条後段,刑訴法351条1項
判旨
死刑制度そのものは憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」には該当せず、具体的事件において裁判官が法律の範囲内で量定した刑罰も、直ちに同条に違反するものではない。
問題の所在(論点)
1. 死刑制度は、憲法36条が絶対的に禁止する「残虐な刑罰」に該当するか。 2. 具体的事件における死刑の量刑が「残虐な刑罰」と評価される基準は何か。
規範
1. 憲法36条にいう「残虐な刑罰」とは、刑罰の内容そのものが人道上の見地から耐え難い苦痛を伴うものを指すが、死刑制度自体はこれに当たらない。 2. 裁判官が具体的事件において法律の範囲内で刑を量定した場合、それが被告人にとって過重に感じられるものであっても、当然に「残虐な刑罰」となるわけではない。
重要事実
被告人は死刑を言い渡されたことに対し、死刑そのものが憲法36条の「残虐な刑罰」に該当し、また検察官の控訴により第一審より重い刑を求めることは憲法39条に違反する等と主張して上告した。
あてはめ
1. 死刑制度そのものの違憲性については、過去の大法廷判決の趣旨に照らし、憲法36条に違反しないものと解される。 2. 本件における死刑の宣告についても、裁判官が法認された範囲内で事案に応じて量定したものであり、客観的に「残虐な刑罰」と評すべき事情は認められない。 3. 検察官による重い刑の追求(控訴)も、憲法39条の二重の危険の禁止等に抵触するものではない。
結論
死刑制度および本件における死刑の宣告は、憲法36条および39条に違反しない。
実務上の射程
死刑制度の憲法適合性に関するリーディングケース(昭和23年大法廷判決)を再確認する位置付けである。答案上は、死刑制度そのものの違法性、あるいは具体的な死刑判決が憲法36条に違反するかを論じる際、刑罰の内容の残虐性と量刑の妥当性を区別して判断する枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)425 / 裁判年月日: 昭和27年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度そのものは、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には該当しない。これは最高裁判所の過去の判例により確立された判断である。 第1 事案の概要:被告人は死刑を宣告されたが、死刑は憲法36条の「残虐な刑罰」に該当し違憲であると主張して上告した。 第2 問題の所在(論点):死刑制度が憲法36条にいう「…