前記五月四日の公判廷に第一回の公判廷に出席した判事Aが列席していなかつたことから、直ちに同判事が同日出勤せず從つて同日合議が成立せず判決書の作成もなされなかつたものと認めなければならないものではない。然らば原判決書の日附が虚僞であつて眞實の作成年月日を記載していないと云う所論は到底採用することはできない。
判決書の作成日に開かれた公判廷にその判決に關與した判事が出席しなかつた場合と右判決書作成日附の眞否
刑訴法68條,刑訴法71條
判旨
判決言渡期日に審理関与裁判官の一部が欠席していても、それのみで直ちに合議が成立せず判決書が作成されていなかったと断定することはできない。また、判決書の日付が実際と異なるとの特段の事情がない限り、書面上の日付に従い判決が成立したものと解される。
問題の所在(論点)
判決言渡期日の公判廷に審理に関与した裁判官の一部が欠席していた場合、その期日付で作成された判決書は、合議の欠如や作成日の虚偽により違法となるか。
規範
判決書の成立および作成の適法性は、判決書に記載された日付や署名捺印の有無により判断される。言渡期日の公判廷に審理に関与した裁判官の一部が欠席していたとしても、その事実のみから直ちに、同日において合議が成立していなかった、あるいは判決書の作成がなされていなかったと推認することはできない。
重要事実
被告人の刑事事件において、第一回公判(昭和23年4月20日)には裁判官B、A、Cが列席して結審し、5月4日を判決言渡期日とした。5月4日の公判には、Aに代わり判事Dが列席したが、裁判長は職権で言渡を5月11日に延期した。その後、5月11日の公判において、当初の審理に関与した裁判官B、A、Cの署名捺印があり、かつ日付が「5月4日」と記載された判決書に基づき有罪判決が言い渡された。被告人側は、5月4日にAが不在であったことから、同日に判決書は作成されておらず、判決書の日付は虚偽であると主張して上告した。
事件番号: 昭和23(れ)685 / 裁判年月日: 昭和23年11月2日 / 結論: 棄却
刀劍所持許可願書の提出を、昭和二一年勅令第三〇〇號に規定された本來の提出期間中になさず、その延長期間中になした場合に、本來の期間中に登録しなかつたことにつき相當の理由あることの釋明書が添えられてない場合には、申請者に對し懲罰手段に出ることは違法でないから、之に對し原審が懲役刑を科したことは適法な上告理由とならない。
あてはめ
本件では、5月4日の公判廷に判事Aが列席していなかった事実は認められる。しかし、公判廷への欠席は直ちに同日の出勤停止を意味するものではなく、合議への不参加や判決書作成の不能を直ちに基礎付けるものではない。判決書には当初の審理に関与したB、A、Cの適法な署名捺印があり、日付も5月4日付とされている以上、客観的に判決書がその日に成立していたと認められる。したがって、判決書の日付が虚偽である、あるいは合議を経ずに作成されたとする主張には、これを裏付けるに足りる客観的な証拠がない。
結論
判決言渡期日に審理関与裁判官が不在であっても、適法な署名捺印がある判決書が存在する以上、判決書の作成・日付に違法はなく、原判決は維持される。
実務上の射程
判決書の作成プロセス(合議・署名捺印)と言渡手続(公判廷での宣告)は別個の手続であることを示唆している。判決書が適法な署名捺印を具備して完成している限り、言渡期日の延期やその際の構成裁判官の異同は、判決自体の効力に直接影響しないことを確認した事例である。
事件番号: 昭和23(れ)1121 / 裁判年月日: 昭和24年4月2日 / 結論: 棄却
假りに所論のように昭和二三年五月一五日頃所轄警察署へ届出るつもりであつたのが檢舉のために不可能になつたのであるとしても處罰を免るべき權利を強制的に喪失せしめたのでないことは勿論であり被告人に對し刑罰を科することが前記覺書の趣旨に背反しないことも明白である、又前記覺書所定の要件を充して處罰せられないものが他にあるからとい…
事件番号: 昭和25(れ)1387 / 裁判年月日: 昭和25年12月21日 / 結論: 破棄差戻
官報に掲載された第一回公判期日の召喚状の謄本に、被告人氏名「来海A」を、海Aと表示したのでは、公示送達の方式として召喚状の謄本を官報に掲載することを、適法に履踐したものということはできない。
事件番号: 昭和24(れ)2588 / 裁判年月日: 昭和25年3月14日 / 結論: 棄却
憲法が刑事被告人に辯護人を依頼する權利を認め、辯護權を尊重していることは所論の通りである。しかし憲法はまた、刑事裁判が迅速になされることをも要求しているゆえ、裁判所は刑事々件の公判期日を辯護人のたび重なる變更申請によつて際限なく延期しなければならないものではない。たとい、公判期日の變更申請が辯護人の他の裁判所における訴…
事件番号: 昭和23(れ)331 / 裁判年月日: 昭和23年6月26日 / 結論: 破棄差戻
刑訴法第六三條によれば公判調書に署名捺印すべき裁判長は公判に列席したものでなければならないのであつて一人制の場合にはその事件の審理に關與した一人の裁判官でなければならないのに公判調書に列席した判事の氏名が記載してないから公判に列席した判事が公判調書に署名捺印したか否やも不明であるし又公判に列席した判事が果して判事たる資…